音楽 |
いま、いくつ? |
若人 |
29歳ですね。
福岡から東京に出たのは23歳からです。 |
音楽 |
(笑)小僧やね。 |
役者 |
ああ。昨日今日の人間や。
まだ垢抜けとらんもんなあ。 |
音楽 |
(笑)まだ、とんこつの匂いばする。 |
若人 |
え? やっぱりもう、みなさん、
しょうゆラーメン慣れてるんですか? |
音楽 |
いやあ・・・食わん。 |
若人 |
・・・あ、そこんとこは、食べないんだ(笑)。 |
音楽 |
何度こっちでラーメンを食って
地団駄を踏んだことか・・・。
「ウソつくなあーお前!!」って。 |
役者 |
(笑)「ウソ」って! |
音楽 |
サラダオイルば入れとるだけやないか! |
鹿児島 |
(笑) |
音楽 |
・・・まあ、そうは言っても、
20歳か21歳くらいで東京に出てきたから、
もう、あと1年か2年したら、滞在期間は、
東京と久留米が半々くらいになりますよ。 |
若人 |
高校も、久留米だったんですか? |
音楽 |
俺、高校は八女工業ってところに
行きよったんですけど、そこは
地元の久留米よりもイナカにあったなあ。
その土木科とか言ったら、もう・・・。
45度のサングラスに
白のエナメル靴で、
ガラものの長いエリを学ランから出して、
パンチパーマで歩いてるような奴らが、
もう、校内に普通にいたからなあ(笑)。
お前ら、ヤクザやろ?って思うもん。
ガラ悪かったよなあ・・・。 |
役者 |
(笑)ぼくも同年代だから、
高校にいましたねえ、そういうやつ。
「あれ?・・・同い年?」って(笑)。
絶対おいちゃんやろ?って言いたくなる位の、
ものすごい剃りこみのやつらが。
独特のファッション、というか・・・。 |
音楽 |
もう、デタラメだったよなあ。
久留米では、2タックのズボンが
一番かっこよかったのに、
イナカの高校に行ったら、それが・・・
5とか6とか、何だか、
どんどんどんどん横に広がってて、
ものすごいタックになっとって。
魚のエラみたいな。
「お前ら、何かぁ!(笑)」
って言いたいくらいの服のやついたから。 |
役者 |
(笑)渋谷の厚底のようなもんで。 |
音楽 |
正直言って、
十代の後半とか二十歳位までは、
東京への憧れがあったから、
「早く九州から出たい」
という気持ちがありましたよね? |
役者 |
ありましたありました。
俺は、出身の北九州が
めちゃめちゃ嫌だったから、
それで飛び出したけど・・・
でも、今は北九州すごい好きやもんね。 |
若人 |
え? 今はすごい好き? |
役者 |
あれ。
あんた、まだ、好きやないの? |
若人 |
ええ。 |
音楽 |
ああ・・・。若いなあ。
まだ青かもんね。 |
役者 |
垢抜けしとらんもんね〜(笑)。
俺ら東京人やからね、そこは。 |
音楽 |
(笑)そう。
九州を心のふるさとにできるんね。 |
若人 |
(笑) |
鹿児島 |
音楽くんは、
『●のリクエスト』や
『●●●●ハートの子守り歌』とかで
一世を風靡した7人組のリーダーだけど、
東京には、以前遊びに来たとかはなくて、
もう、イッキに芸能界で来たんですか? |
音楽 |
修学旅行も、スキーだったからねえ。
高校の時に行っておくハズだったんだけど。
だから、7人組でデビューの時に
東京に集団就職みたいに来たのがはじめて。
やけん、最初に出てきた時は緊張してて、
東京で7人全員で一緒におっても、
電車の中で、誰も喋りきらん(笑)。 |
鹿児島 |
(笑) |
音楽 |
みんな黙りよるの。
喋るにしても、もう、何か、
「わー、すごかね」とかしか喋られんから、
7人固まって、黙って町とか歩いてて。
洋服を買う時も、淡々と見て選ぶ。 |
若人 |
(笑)7人とも、一緒に行動してたんですか? |
音楽 |
うん。怖かったもん。
はじめて渋谷に行った時、あのスクランブル交差点、
あれを俺は・・・祭りやと思ったもん。 |
鹿児島 |
あはははは!(笑) |
音楽 |
普通に「あ、今日は、祭りなんやねえ」って。
それが交差点なだけだから、びびりましたよ。
花火大会かと思った。 |
役者 |
わかるわかる。
東京の電車で誰かとちょっと目があっても、
あいつ、俺がイナカモンやと思って
バカにしよるって気になったもんね・・・。
ぼくなんか、すごい被害妄想がありました。
やっぱり、なまりが恥ずかしくて
一言も喋れなかったし。 |
音楽 |
ぼくたち、芸能界で
デビューするということで来てたでしょ?
だから事務所のえらい人に言われたんです。
「お前らちょっと、
言葉が汚すぎるから直したほうがいい」って。
そうだなあ・・・と思って、ミーティングして、
「じゃあ、明日から、リハーサルの時だけは、
絶対にみんな、標準語を使おう」
ということになったんですよ。
で、リハをしてみると、
「あ・・・おまえ、ドラム、おそい」
とか、何かインディアンっぽくって、
会話が、わけわかんないんですよ。
単語以外のあいだに挟む言葉を、
俺たちは、ぜんぜん言えなくて。 |
鹿児島 |
(笑)わはははは! |
音楽 |
だから、三日でやめたけどねえ・・・。
三日は、がんばったんですけども。
あのさあ・・・みんなは、
「だるまさんがころんだ」
って遊びを、何て呼んでた? |
若人 |
ぼくら「インド人のくろんぼ」ですね。 |
音楽 |
やろ? 俺もそうだったんよ。
でもそれってよく考えたら、
めちゃめちゃな差別やからねえ。 |
鹿児島 |
あ。鹿児島もそうやったよ。 |
音楽 |
鹿児島もそうかあ・・・。
九州は、そうだったのかなあ?
俺、いったいどこまでが
「インド人のくろんぼ」かと思って、
ちょっと気になってねえ。
それは俺、探るべきやと思ったもん。
うちのカミさんは和歌山出身なんだけど、
1970年生まれにも関わらず、
「だるまさんがころんだ」を、
「兵隊さんがとおる」って言って遊んでて・・・。 |
役者 |
あはははは。 |
音楽 |
それ、お前、戦後を
ばりばり、ひきずっとるやないか、って。
「インド人のくろんぼ」に
「兵隊さんが通る」やもんなあ・・・。
あんまりインド人おらんからよかったけど、
おったら、気分、悪かったやろうなあ・・・。 |
鹿児島 |
「だるまさんが転んだ」を
各地で何と言って遊んでたかは、
ぜひ、ほぼ日の読者に聞いてみたいですね。
|
(次回に続くったい。そのうち、方言ば、