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イナカモン座談会。
都会の正体とはなんだろう?

第4回 都会をのりこえたかい?

北九州 鹿児島くん、いまは都会に
あんまりコンプレックス持ってないでしょ。
いつ、都会を乗りこえましたか。
鹿児島 地方に帰った時に、
自分が都会の人だって強調しなくなった時に、
ああ、俺は東京の人になったのかなあ、
って思ったけど。
北九州 いつぐらいですか。
鹿児島 そうだなあ、37歳くらいかなあ・・・。
京都 案外、時間かかるんですね(笑)。
北九州 (笑)割と最近じゃないですか!
鹿児島 そっか?
でも、東京来た時にはびびりましたね。
想像以上だった。

はじめて来た時、
渋谷の駅でともだちのクルマが待ってたから
それに乗ったんだけど、
ちょっと地下に下るところもあるじゃない?
それに、圧倒されたもん。
「うわあ、都会やねえ!」って。

このまま地下都市に
ずっと入っちゃうかと思った。
大阪 (笑)
鹿児島 その時通った道は、いまでも好き。
そういうのって、あるよね?
原点みたいな。

鹿児島からともだちが来ると、俺、
わざわざレインボーブリッジ通るの。
何もこっちからは
インフォメーションしないんだけど、
「あれ?フジテレビじゃない?」
「観覧車だ!」
って、ともだちが横で言っているのが、
耳に心地いいって言うか。
京都 鹿児島くん、それぜんぜん
東京を乗りこえてないじゃないですか(笑)。
北九州 (笑)ほんとだよ。

ぼくもふだんは下北沢で飲んでるんですけど、
ともだちが地方から来ると、
西麻布連れて行くんですよ。
ふだん行ってないのに。
大阪 あ、わたし、
北九州くんに、そこに連れていかれたわ。
最初に東京に来た時。
ビリヤードとかクラブとかが
一緒くたになってるところ。
鹿児島 (笑)あはははは。
ほんとに連れてってるんだ!
北九州 こないだ、いなかの
妹も連れていきましたからねえ。
鹿児島 (笑)なんで妹にかっこつけんのよ!
北九州 妹と渋谷で待ちあわせて、
タクシーを呼んで
「あ、西麻布」って。
大阪 (笑)なにしてんの!
北九州 「霞町で」とか。
地名を知ってるぞ、ってひけらかして。

ともだちを連れていくと、みんな、
「西麻布って北九州ちゃん、
 とんねるずの雨の西麻布のアレやもんね」
って、ぼくに対して、必ず言うんですよ。
で、おしゃれなバーに連れていくと、
「いやあ、こげなところは違うばいね。
 バーボンとかそんなのばっかりやろ。
 いも焼酎はなかもんねぇ!」って。

・・・お前、どこまで行っても
いも焼酎飲む気だったんかい!(笑)
鹿児島 俺、26歳の頃に、
サーフィンやってた後輩が、
全日本選手権の九州ブロックの代表になって、
新島で大会があるから上京して来たんだけど、
その時、一緒に連れていったのね。

そいつ、すごいおしゃべりなのに、
オシャレなところでめし食ってても、
ぜんぜんしゃべらないの。
でも、俺の家に泊めたら元気になって。
「鹿児島弁しかしゃべれないから、恥ずかしい」
って。ああ、そういうもんかと思ってた。

で、大会で新島に行くと、
やっぱ、カチンカチンに緊張してるの。
受付に行くと、水着を着た
キレイなおねえちゃんが、いるのよ。
登録で「鹿児島」って、そいつ、書いて。
そしたら、
「え?鹿児島から来たんですか?
 かっこいい!どんな感じなんですか?
 楽しいところなんでしょうねえ」
そいつ、しゃべれないんですよ。
「ちょっと鹿児島弁でしゃべってくださいよ。
 ・・・鹿児島弁で、おいしいって何ですか?」
言わないのよ。言えよって俺も言って。
教えてほしいです、って女の子も言って。
「・・・『うまか』です」
そいつ、言ったの。
そしたら女の子がおおよろこびしちゃって。

そいつ、そしたらそこから
堰を切ったように、鹿児島弁で
ワーって喋りだした(笑)。
北九州 (笑)よかった!
鹿児島 「俺、イケた!」って思ったんだろうねえ。
・・・結局、全国大会で4位に入ったの。
まさに「波に乗って」。
北九州 (笑)「波に乗って」って、
そのだじゃれが言いたかったんでしょう?
・・・いやらしいわあ!
鹿児島 (笑)
そいつ、うれしかったみたいで、
渋谷に一緒に戻った時も
今度は鹿児島弁でワーってしゃべるんだけど、
じいっとまわりに見られて、
しゅーんとしちゃった。
北九州 鹿児島くんって、こどもの頃、
どういうところに住んでました?
鹿児島 うちのいなかは、
東シナ海に面した山あり川ありの
のどかな温泉町なんです。

小学校1年に入るでしょ。
夏休みに入る前に、かならず先生が
「川で泳いではいけない」
っていう話をするんですよ。
理由は、河童が出るからなの。
北九州 (笑)
鹿児島 で、先生が毎年、
河童の話を延々とするんですよ。
最初は、姿じゃなくて声からくるんだぞと。
「ヒーヒョー」
って声が聞こえたら、まず逃げろと。
河童が人間に近づいて興奮してると、
太鼓をたたくぞ、ポンポンポンって。
そしたらもうヤバイから、
駆け足で逃げろと言われてて。

それを、毎年毎年聞いていて、
みんなびびって入らないんだけど、
でも俺も兄貴たちとつきあってるから、
そんなの関係ねえよ、って
川で遊んだりしてたんだけど。

秋になって、
山のてっぺんに梨がなるぞ、
というところに同級生3人で取りにいったの。
梨を取って、川で食べてたのよ。

・・・そしたら、
ヒーヒョーって声が聞こえてきたの。
「え?河童か?」
でも、3人とも動けなくなって。
そしたら、太鼓の音がすんのよ。
ポンポン、ポンポン!
・・・うわあ、やばあ、って。

みんなで逃げて、川を超えたんだけど、
いつまでもポンポンポンポン
叩いてんのよ、向こうは。
北九州 「向こうは」って(笑)。
いるんですか。
鹿児島 まじで、いるのよ!
川の飛び石みたいなのを
逃げて飛んで渡りきった時に、
幼稚園くらいのヤツのシルエットが、
ひゅーっと横切った・・・。
あれは、そうとうビビッたなあ。
大阪 へえ・・・。
じゃあほんとに河童だったんですか?
鹿児島 河童なんですよ!まじで!
北九州 (笑)河童の出たところに住んでたんですか。
鹿児島 ある時、兄貴が、天体望遠鏡を買ったんですよ。
それでみんなで月とか見てたんだけど。
アネキが「流れ星だ!」って。
振り向いたらもうなくって。
あっちか、と思って見ると、
落ちたっていう場所から、
光がふわあ、ってあがってきて。
真上に、ぎざぎざの穴のあいた
飛行物体が、浮いているわけですよ。
京都 ええ?(笑)
北九州 待て待て!
どんどん、話が不思議方面に行くぞ?(笑)
鹿児島 ほんとだって!

その物体は、いろんな色の光をはくわけ。
すごいきれいなのよ。
その頃、UFOとか宇宙人っていう言葉を
俺たちは、知らないの。
北九州 「UFO」とかの言葉が、まだきっと、
鹿児島まで届ききらなかったんですね(笑)。
鹿児島 その物体、よく見ると、
山の向こうまで大きさがあるのね。
とてつもなくでけえの!

それが動いて、ヒュッといなくなったんだけど。
朝、ちょっと記憶がなかったりして、
その時の話をしてたら、兄貴が、
「昨日、へんな夢見たんだよね。
 白っぽい光の空間に寝てたら、
 白い人間がいて、みたいな夢だけど」
・・・俺も見たのよ、その夢を。
まったく一致するの。

2年後、兄貴が少年マガジン持って
血相変えて俺んところに来たの。
「これ見ろ!」
・・・見たら、『UFOと宇宙人』ってあって。
京都 (笑)
鹿児島 そこではじめて知ったのよ。
俺らは、UFOとか宇宙人を。
そこにUFOの写真があって、
グレイっていう宇宙人がいて。
「これこれ!これだよ!」って。
北九州 河童と宇宙人がいるところが、
鹿児島くんのイナカなんや(笑)。
・・・どんなやねん!
まあ、夏らしい、いい話だけどさあ。

※みなさんも、お盆を機に、
 思い出したイナカもんエピソードなどを、
 postman@1101.comまでお寄せくださいね。

2001-08-17-FRI
TANUKI
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