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イナカモン外伝、逆襲のサガ。
都会の正体とはなんだろう?

<佐賀の性と手をつなぎましょう>


佐賀県で生まれ、佐賀県で育った私が
早稲田大学という(一応の)有名校に現役合格した時、
母校の玄関口にはピンクの花飾りが付けられた看板が
でーんとかけられました。

「祝 早稲田大学合格者 出る」

こんなのまるで「神の子」扱いです。
職員室の先生達は総出で拍手喝采。
校長室やら事務室やら、
いろんなところに挨拶回りもさせられました。

「12組の高田馬場サガコです。
 おかげさまで、あの早稲田に合格しまして…」

ひたすら学校中を報告して回らされました。

住んでる町には、郡を越え、山を越えて
「あそこの区長の長男の一人娘のお孫さんは、
 早稲田に受かりんさったてよ」
と合格情報が響き渡りました。
だから私は
「ああ、東京の有名大学に受かったら、
 みんな、こがんして報告して、
 お祝いしてもらわるっとたいね」
と信じきっていたのでした。

東京に出てきて、
同じく地方出身の友人達へ誇らしげにその話をしたところ、
「そんなの、うちの地元でも聴いたこと無い」
と爆笑されました。
「当選の決まった政治家じゃないんだから」
「東京がそんなにも"遙かなる地"扱いされてるってのは、
 ど田舎の証だよ」
そりゃもう、いろんなことを言われて
恥ずかしいやら情けないやら。
一時期は佐賀の話を封印してみたり、
福岡出身と言い張るような私の姿もありました。

けれども、そういう佐賀を「恥ずかしい」と思う気持ちは
最近だいぶ薄れてきました。

確かに佐賀県はど田舎で、
且つあまりにもインパクトが薄い土地。
熱気球、有田焼、吉野ヶ里遺跡、みかん、ムツゴロウ…。
何をとっても中途半端で、
文化も福岡などに比べればだいぶ遅れていて、
全国区に向かってどーんと認知されている要素など、
本当に何にもないような気がします。

だけど、だからこそ
私はあの「田舎」に価値があるように思えるのです。
何もないから、全部ある。
純朴としか言い様のない人々の素直さを惑わすような、
都会的な浮ついた要素は、
佐賀県には未だ、かなり存在しません。
その、今現在はちょっと恥ずかしい現実が、
いつかきっと素敵な価値になるような気がして
ならないのです。
こんな日本になっちゃってるからこそ、尚更に。

何とか発展しよう、発展させようと、
おそらく佐賀の行政は頑張っています。
けれども、そんな「利便」とかの追求は
もう福岡さん達に任せちゃって、
佐賀はこの穏やかささえゆるやかに
守っていればいいんじゃないかなぁ。
そうしたら、いつか日本の全てが
「佐賀」を振り返ってくれるような気がするんです。

あの土地で育ってなかったら、
今の自分はいないと思います。
あんなとてつもない田舎で育ったからこその、
私の今のココロだと思てます。
何もないから、全部ある。
あの土地なら、小さな私の存在だって、
少し、ヒーローになれるんです。
いや、そりゃあ「大学合格挨拶回り」の儀式は
だいぶ恥ずかしいけどさ!

東京であたふた頑張ってると、
ふと、どうしようもない勢いに飲まれます。
自分がすごくちっぽけに感じられて、
時々ホントに自信がなくなっちゃう。
そういう時、私は佐賀に還ります。

「東京で頑張ってるんじゃん!」
「すごいじゃん!」

田舎の空気に慰めてもらって、
少しヒーロー気分も味わって、
自分を奮い立たせては、また闘いに出てくる。
そうして負けては
また帰り、泣いて、立ち上がり、往く。
その繰り返しでどこまで頑張れるか。
イナカモンにしか許されないそんなパワーを、
最も色濃く残していけるのが
「今後の佐賀県」なんじゃないでしょうか。

これからも、ずっと暗黒地帯呼ばわりされちゃうでしょう。
それは、最後の楽園の可能性を残し続けるよ。

闘いに出ていく「サガンモン」の若者達と、
それをはぐくみ、地元を守ってくれている
「サガンモン」達。
どっちでん、捨てたもんじゃなかっ!
ばらい、ありがたかっ!

というわけで、本当の「逆襲のサガ」は何百年後か…。
高田馬場サガコのサガンストーリーも、
ひとまずここまでです。
読んでくださった方、何よりサガンモン、
イナカモンの全ての人達に、多謝であります。
ありがとうございました。

(結局、佐賀のいいところを
 具体的に何にも紹介しなかったね…)

おしまい。
<最後に高田馬場サガコよりお知らせ。>


さて、ひとまず終焉のサガシリーズですが、
この「イナカモン外伝〜逆襲のサガ」の原稿が、
な、な、なんと!
外出先のたこ焼き屋さんでも読めるようになりました〜!
(アナログ化?)

東京・新宿区高田馬場にあります、
大阪たこ焼きのお店『鬼扇』(おにうちわ)は
サガコ行きつけの絶品なたこ焼き屋でございます。
本場・大阪の味をこれでもかと見せつけてくれる、
焼きたて限定の究極のたこ焼きがいただける名店です。
値段も五百円からと超リーズナブル。

今回、そちらの大将のご厚意で、
プリントアウトした今回の連載分と、
書き下ろし「サガ原稿」などをプラスした、
【高田馬場サガコのしおり】を暇つぶし用に、
ちょろっと置いてもらえることになりました。

私の第二の故郷、高田馬場・早稲田界隈にお越しの際は
どうぞお立ち寄り、立ち読みしてってくださいませ。

「鬼扇(おにうちわ)」
東京都新宿区高田馬場4-13-13

2001-03-27-TUE
TANUKI
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