イナカモン外伝、逆襲のサガ。 都会の正体とはなんだろう? |
<お笑いと、アダルトと、恋の話。> 自宅療養に入って、二日目。 痛みと腫れは、まだまだ健在。しぶといなぁ。 退院後の一人暮らしは、 病院生活とは比べものにならないほど、 行動せねばなりません。 そして今、動くたびに私は感動しています。 「こんな些細な動きにも、 お尻の筋肉は頑張ってたんだ!」と。 あのね、例えば笑っても痛いのよ。 痛みのピーク時は 泣いて、鼻が詰まって、それをすすっても痛いのよ。 お尻と感情に伴う行動は、 密接に繋がっていたのですよ・・・! これが感動せずにいられましょうか。 自宅とは言え、ただ寝そべってるのは暇だなぁって思って、 ビデオラックから 『ごっつえぇ感じ』のビデオ引っ張り出してきて 見てみたんですけど、どーしたって見られなかったです。 どうにもおもしろすぎて。 笑うと、治りかけのケツの穴が明らかに動くんだもん。 ひきつるんだもん。 幸せと不幸が同時に襲ってくるみたいになってしまって、 嬉しいんだか哀しいんだか・・・。 で、結局、ビデオ鑑賞は挫折。 徹底的に笑おうとか、徹底的に泣こうとかって、 何かの感情をバーッと表現しようと思ったら 心と体が「パーフェクト」じゃなくちゃダメなんだって、 今更のように実感してしまって、思わず溜息つきました。 しかし実際問題、 おしりと痔はどうも「恋愛」という、 人間の究極奇妙な感情にも密接に繋がってるみたい。 先輩で病院嫌いの、 おそらく私よりもひどい「いぼ痔持ち」の 女性がいるんです。 互いに痔主であることは とうの昔に告白しあっているのですが、 彼女の方は頑なに病院に行こうとしません。 聴けば四六時中、毛細血管の塊である「痔核」が 肛門の外にぽこっと飛び出しているそうなのですが、 (これを「脱肛」といいます。 いぼ痔の程度としては結構いっちゃってるもので、 手術適応であると診断されることが多いです) 彼女は痛みも出血もないから、困ってないもん、 と言いきります。 まぁ、そこは個人の自由ですから、 私は別に彼女に通院を強制する気も無いのですけれど。 ただ私が手術を決めた頃、彼女と深夜まで話し込んだ時、 彼女が私に打ち明けてくれたことがありました。 「サガコ・・・私はこいつ(痔)で、 一個だけ困ってるわ」 酒の勢いもあったのでしょう。 やや涙目の彼女は、小さな声で言ったのです。 「私、エッチの時、どうしても 彼に背中は見せられないのっ」 私は、突然のその大胆発言にどう答えたらいいのか分からず 「そ・・・それは深刻ですね」 とか言っちゃいました。 この悩みを話せる人間が他にいない、 というのもあったんでしょう。 うながしたつもりもないのに 彼女はべらべら喋り出しちゃって、 彼氏の顔も存じている私は、めくるめく大人トークに ただただ唖然で、顔真っ赤っか。 「彼がね、すっごい後ろから やさしく抱きしめてくれるのにねっ、 私はそれに応じることが出来ないのぉぉぉっ。 だって、四つん這いで おしり見えちゃったらばれるもん! 後ろからなんて、 ばれちゃうんだものぉぉっ」 えーと・・・。 つまり、 動物のようなワイルドなエッチが出来ない、と。 それはあなた、 立派に「困ってる」 じゃないですか。。。 「あー、電気消せば見えないんじゃないっすか?」 「明るい方が燃えるって言うんだもん」 「・・・(絶句)。 ・・・じゃあ、じゃあさっ、背中向けられそうになったら 『あたし、ぎゅっと抱きしめててもらわないと怖い…』とか かわいらしく言ってみるとかどうでしょう!」 「そんなっ、私はずっとじゃあ、 正常位の女なのぉ!」 居酒屋のカウンターに響き渡った、驚異の日本語。 『正常位の女』 恥ずかしいを通り越して、私は青ざめながら、一言。 「・・・・・・手術しなさいよ、 あんたこそ」 三十過ぎても、どれほどキャリアウーマンでも、 綺麗なピンクのヒールを履きこなしていても、 女の子だからね・・・。 守るべきものがあると、大変だよね・・・。 ウブで捨て身で考え無しのサガコには 程遠い世界のお話なのでありました。 男の人にとって、女の人の「痔」とは どの程度のショックなんでしょうね。 好きな人にとってパーフェクトでありたい。 欠点は隠したい。 そうやって恥じらう気持ちは大切だし、 すごく素敵だとも思う。 でも、例えばそれを告白したからって、 簡単に気持ちが失せるような恋は、 最初から恋にもなってなかったんだと思う。 痔持ちの人は、それで恋の深さでも測ってみる? しかし、ホントに不思議な病気だわー。 知れば知るほど、ドラマティックな病だわー。 |
2001-05-08-TUE
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