ITOI

頭出し:電波少年的放送局の62時間。
いくつになっても、馬鹿は馬鹿。

臨時更新で、その時その時の会話をお届け!
数時間ずつ更新で、木曜深夜の対談をご紹介!!

[2日目の総括。T部長との会話ですよ]
<第2回(25日01時38分更新!)>


いま、ヤザワさんの話がでましたけど、
『アー・ユー・ハッピー?』
あれ、おもしろかったなぁ。
あの中に、『成りあがり』を一度出されて
何年後というか、原稿まで作って
出版直前までいったんだけど、
「やっぱりやめよう」って。

イトイさんとヤザワさんの両方が
やめようとお互いに言う関係の中で
10年間寝かされた原稿だと読むと、
「そういう関係なんだなぁ・・・」
っていうのを感じました。

いい話だなぁと思うのは、
ヤザワさんの本をそのタイミングで出せば
確実に売れるということがわかるじゃないですか。
でも、何ですかねぇ・・・。
ほんとなら、もうかるわけだからいいと、
なるわけじゃないですか。
糸井 でも、もうかるけど、
よく3000円で捕まったって人を見ると、
「3000円で、ねぇ・・・?」
って言うじゃないですか。
いまのTさんの問いって、何円だったら、
「そのお金が欲しいんなら」
って言えるかという問題じゃないすか。
5億だったらいいかと言うと、
Tさんが5億パクって失踪したとしても、
「たった5億で、ねぇ・・・」
と、意外と人は言うと思うんですよ。

そうすると、本の話でも何でも、
「そうまでしないほうがよかったんじゃないの」
という話は、どこかにあるんじゃないですか。
ヤザワさんとイトイさんが、
どちらもどこかにフリーランスなところが
あるから、そうだと思うんです。
それがキーで、もし本にしても出版社とか、
どこかでサラリーマンが絡んでくる。
本を出すことでポイントをあげようとか。
ぼくもそう、お会いしていないけれども
昨日イトイさんとの話に出た
キリンビバレッジのかたとかのことを
考えたりもします。
サラリーマンについてだとか・・・。
糸井 「なんで、これをしてるんだっけ?」
と問う権利は、
ほとんどの人に、ありますよね?
つまらない人がリーダーの会社だと、
「そんなこと、お前に問う権利があるかよ、
 とにかく、やれ」
っていうことになるんだろうけど、
でも、命令っていうのは、
組織では絶対に聞かなければならないもので。
ぼくは、そこは正しいと思うんですね。

ただ、その命令を聞かなきゃいけない理由が、
もともと、その会社の中にあるから、
「ここはオマエ、そうは言っても命令だよ」
と言えることがあるので、
そうすると、それぞれの会社に、
「じゃあ、なんでこの会社があるの?」
というのが問題ですね。

よく、中小企業だと、
「地域文化への貢献を、電気製品を通じて・・・」
とかいう社是が貼ってあったりするけれども、
あれは、ほんとうのことだと思いたいんですよ。
でも、ほとんどの場合は、
書いていながら忘れているんですけれども。
忘れているんですね。
糸井 「うちの社って、何だっけ?」って。
それは、ほんとうに廃品の回収であろうが、
女衒であろうが、あると思うんです。
日本って、そういう社是が
あることはあるはずなのに
誰も言っていなかった。
それをこのごろになったら、いろいろな人が、
言い出しているんじゃないかというように
ぼくには見えるんです。
日本の会社って、
終身雇用だとか年功序列で
うまくいってきた感じがあった。
でも、それじゃあ、
なんとなくうまくいかくなってきた、
と誰もが感じてきている。

と言うことは、どこかで、
「こういうつもりで働いていいんですよね?」
と言われることに関して、サラリーマンでさえも
対峙するカタチになりつつあるという。

いままでは、効率はいいけど
ただ漕げ漕げ、っていう流れでしたよね。
必死で漕いでくると、
電気製品は買えたしクルマは買えたし
家は買えたし・・・じゃあ、漕いでいればいい?
というところになってきた。
今は、言われたとおりに船を漕いでも、
別に、電気製品を買い替えられないなあ、
というところですよね。

ぼくなんかが思うところで言いますと、
非常に生意気な言い方になりますけれども、
会社というものと自分というものの天秤を、
どこに置くかということになると思うんです。

この放送を会社のえらい人が見ていると
面倒なことになるかもしれないけれども、
あくまで個人と会社はフィフティの関係だぞ、と。
その関係の中で、外に行っても
食えるぞと思いながらじゃないと、
会社員をやってはいけないんじゃないか。
そう思うことがあるんです。
糸井 うん。
今はさー、いい会社では、
そういう人がトップになってるんじゃない?
ダメだなあというところでは、
そうじゃなく、仲裁役のうまい人とかがなってる。
うまくうえにあがったかもしれないけれども
それでは、うまくやれないでいる。
「この会社、あっちに向かって行く、
 で、いいんだよね・・・?」
と、メンバーが言いあうとでもいうか。
糸井 そのあたりを、会社本体よりもはやく、
市場が先に問いはじめた感じがありませんか?
そうですね。
この前、『A』『A2』と
オウムの映画を撮られたかたと
対談をしたのですが、
どこかのところで、下手すると、
「こうすると視聴率をとれる」
というところで思考停止をしてしまう
危険があるかもしれない。

0.05かもしれないけれども
「こいつらのこういうところは、ありだぜ」
というところまで
ふみつぶしていこうとするマスコミを、
逆側のレンズからじっと見ることは、
おもしろかったですね。

そんな中でも、市場チェックに、
マスコミというものは、あると考えていいですか?
糸井 ぼくにもわからないんですよ。
そっちはかゆいなとか、
ぼくのよりどころって、
「居心地の悪さから逃れる」なんです。
やっぱり、反応すると思うんですよ。
毒のあるところにいると息苦しくなったり。
そういう意味で、マスコミは、
ぼくはマスコミという人がいるとは思わないけど、
自家中毒を起こしているように感じますよね。
いまふと思いましたけど、ふつうは
インターネットというツールがこの時代に
このタイミングで出てきたことによって、
やっぱ、ぼくらも、背中を
押されているような気がするんですよ。
いままでは、ヘンな話、
マスコミであるということで
「な?わかってるな?
 ここはこういうルールだから!」
っていう感じが、それはダメだなと。
違うインターネットという
コミュニケーションツールがあったり、
東芝のクレーマーのことがあったりすると・・・。
糸井 企業は「あ!」と思いますよね。
いつもの投書なら押さえられるものが、
押さえられなくなってきている。
インターネットの影響で
誠実であらざるをえなくなっているというか。
糸井 子どもができたから、パパ浮気やめた、みたいな。
(笑)


(※つづく)

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2002-05-24-FRI
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