ITOI

頭出し:電波少年的放送局の62時間。
いくつになっても、馬鹿は馬鹿。

臨時更新で、その時その時の会話をお届け!
2日目の総括!電波少年的放送局のT部長との会話!
23日深夜にはじまったふたりの雑談は、
1日目同様、話題はメディア論に飛んでゆく。

第1回 (今晩も、どうも)

第2回 (会社と自分の関係は)

第3回 (信頼って何?)

第4回 (なぜ、人と組む?)

第5回 (天才という病)

[2日目の総括。T部長との会話ですよ]
<第6回 社長のリスク>


糸井 ぼくを怒るという芸の
あのへんで、この番組の
「シミシミやっていくおもしろさ」
っていうコンセプトを、女優は守るんですよね。
脚本書く側にいたい人は、
そのコンセプト自体を変えちゃいたいから、
ばんばん食いものを入れたら
ほんとうに勝負できるじゃないか、
とか、言いたくなるんだけど。

でも、そうすると、
「今までこうやってやってきたじゃないか」
っていうか。
いままで日本書紀でやってきたのに、
外国人を入れないでちょうだい、という姿勢?

この話は、その場ではできないし・・・。
こうやってTさんとの場があって
話せて楽しいんだけど。
ぼくは、どちらかというと、
外人入れていこう、っていうほうなんです。
だから、それもやろうと思いますけど。
糸井 Tさんが考えてきた
この一粒の種が森になる、っていうコンセプトで
いちばんおもしろかったのはひとつずつの種でしょ。
でも、そのコンセプト、何年まわしたんですか。
じゃあ、森をつくったあとに
あなたは何をしたいんですか?という、
そういうところに来ているんじゃないかと思う。
同じことのぐるぐるまわりは、
人をひきつけないと思うから。
どこまでさらけだせばいいのか、ということで
やっていけばいくほど、
どこまでも隠していくという
ヘンなことになるなと思いながらも、
やっているところがあるんだけど・・・。

ただ、お互いの尊厳みたいなものはある中で、
その先に何がどうなるかなというのは、
ひょっとするとあるかもしれないですね。
糸井 「世の中いろいろありまっせ」が、
Tさんのやりたいことなんじゃないかと。
基本的には、そうですね。
こんなのも、ありでしょ?が成立すると
うれしいというのが基本ですね。
糸井 電波少年の企画の中で、
目的を達成するドラマにのっかった人が
シナリオの中ではイキイキとする。
でも、「じゃあ、終わりね」って言った時に、
どうなったかということを、やっぱり・・・。
その仕組みのあとに、何がのっかるんだろう?
というか。
猿岩石からはじまったあのシステムに
のっかるとは、どういうことなんだろう?
ということなのかもしれないですね。

ぼくは、アポなしをやっていた時代に、
社長と会長にお年玉をもらいにいこうとか
そういうことをやって、
えらい怒られたんですよ。
永田町にいくよりも100倍も怒られた。
会社の中なのに。

だけど、それをやらないと、
ひきょうだとぼくは思ったんです。
ひとの会社にはアポなしでガンガン行って、
みっともない姿を出しておいて、
でも、一時社内アポなしをしたら、
あれがいちばんおこられましたね。
糸井 へぇ、それって、
途中の人がいないと、
きっと怒られることじゃないんでしょうね。
オンエアしたあとに怒られるんです。
会長かっこいいなと思うのは、
ノーカーデーと言っていた時に
「氏家ちゃん、電車でいこう」
と松本明子が誘った時に、
「そうは行くかよ、一緒にのってけ」
ってクルマでいく。
そこで行ったあとに、誰にも言わないんですよ。
もし言ったとしたらオンエア中止になる。
でも、誰にも言わなかった。
オンエアした次の日に、怒られた。
糸井 おもしろいなぁ。
だからさー、やっぱり上で
強風にさらされているほんとうのトップは、
なかなかすごいものがありますね。
ある種の敬意を払うべきものがあるよ。
昨日今日と社長さんもいらっしゃったけど、
やっぱり、社長っておもしろいですよね。
糸井 社長はおもしろいですよ。
自分の博打を打ってる人だから。
昨日言われたことで、
じゃあぼくは自分の年収分しか
リスクを背負ってないってことなんですけど、
それとは違う考え方として、
「いや、ぼくはぼくで、こっそりと
 テロリストのように、
 強大なテレビの中に巣食う虫のように
 やらなければいけないことがあるんです」
と言っていましたよね。
でも、やっぱり、社長さんはおもしろいですよ。
糸井 まぁ、おもしろい人を選んで
つれてきているからでしょうけど。
なんでしょうけども。
・・・あ、イトイさん、
ここでメールアドレスだされてますけど、
届いたメールはぜんぶこのパソコンに
直接来るんですか?
糸井 はい、来ます。
フィルター、かけていないで?
糸井 ええ。それは覚悟してます。
ぜんぶ読んでますよ。
すごいなぁ。
糸井 年収以上、かけてます。
そっかー・・・。
やっぱり、俺は、
打たれよわいんですよ。
糸井 誰だって弱いです。
・・・ですよねー・・・。
でも、2ちゃんとかに
たとえば、書かれるじゃないですか。
ぼくはほとんど読んだことがないですけど、
それを聞いただけでこわくなっちゃうんです。
糸井 誰だって弱いです。
それが現実に何かあった時に
自分はどうするかという覚悟は、
それこそ、社長さんたちはしてますよ。
逃げない。
逃げるのも、
ちゃんと理由があって逃げますよね。
そのためにも、生のいろんなリスクを負って、
メールアドレスにもフィルターをかけずに
やっているということですよね。
糸井 メールはとにかくぜんぶ読む。
たしかに、つらいのもありますよー。
この場だからできていること関しても
敏感に反応がきますし。
文句は言うなよとはぜんぜん言いません。

ただガミガミ言ってるだけじゃなくて
これはという理由のある批判に関しては、
心からちゃんと考えますよ。
こちらも面と向かいます。
やっぱり、そこを引き受ける覚悟がないと、
社長にはなれないですね。
糸井 そうですね。
たぶん、3人の会社の社長だとしても、
ある意味、そういうことを
やっているんでしょうねぇ。
そうだよなー。
前に、15年ぐらい前に
川崎徹さんがうちの新入社員を前にして、
「会社員のいちばんあやういところは
 逃げ込むところで、それがあるということは
 クリエイターとして
 ものすごいハンデを負っているんです」
ということを言っていたけど、
新入社員は誰もわからなかったけれども、
横にきいているこっちは
「なるほど!」とばかり思っていた、
ということがあるけれども。

やっぱり、それですよねぇ。
サラリーマンには逃げこむ癖がつきますよね。
糸井 逃げこんだことが後悔される場面が
きっと、出てきちゃいますよね。
「あの時は、逃げたっけなぁ・・・」
と思いだした次もまた逃げるのか、
このぐらいは留まるというかたちなのか、
そういうことって、
ジジイになってから来るですよね。
だから、若い社長って、
とんでもないものがありますよねぇ。
そっかー・・・。
あのアドレスはイトイさんに
ストレートにくるのか。
糸井 そうですよ、読んでますよ。
ありがとうございました。
また会いましょう。
糸井 ええ。


(※T部長との対談は、ここでおわりです)

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2002-05-26-SUN

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