T |
この話をするぞ、と思っていると、
失敗するじゃないですか。
さんまさんにしても、打ち合わせをしないけど、
天才だから打ち合わせをしないと言うよりは
それのほうがベストコンディションなんだ、
とわかっているというように思えるんです。
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糸井 |
ただ、ぼくがここでTさんとしているような
セミシリアスな話が求められていない場って、
ありますよね? 8時からのお笑いとか。
「仕事ってさー・・・」
っていう話、しちゃいけないじゃないですか。
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T |
でも、みんなのキャッチボールの中で
「仕事って」って言うイトイさんが
すごい天然に見えてうまくいくかもしれないし。
このタマの投げあいだとわかっていると、
うまくいかないから。
だから、ぜんぜん違うところでの勝負というか。
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糸井 |
いま話している
そのパターンこそが「テレビ」ですよね。
すべてを「わっはっは」と言えるものに
持っていくというか。
だから、「この人、すごい!」っていうところが
ちゃんと出ないなら、
そういうトークに出るべきじゃないとさえ
言えるかもしれないんですよ。
ぼくが番組に出るのは、だいたいが
ダウンタウンとかさんまさんとか、
その人たちを好きだから、なんですね。
火事場に立つみたいな楽しみなんです。
プロからしたら調子のいい立場だと思うけど。
この三日間をひきうけるへんな人、
という立場なら、だいじょうぶだと思うけど、
ぼくは笑わせるようなおもしろいことに関しては、
そんなにチカラはないと思うんです。
笑いって興味があるんですけど。
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T |
(その後、さんまさんと松本人志さんの話をして)
笑いに関してはまたどこかで話したいですねぇ。
さんまさんとか松本人志さんとか天才って、
やはりちょっと紙一重なものがありますから。
「天才って、一種の病気なんじゃないか」
とさえ思いますねぇ。
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糸井 |
ぼく、「吹きこぼれ」って言ったことがあるんです。
おちこぼれ、ってあるじゃないですか。
でも、あんまり上にいすぎて、
こぼれちゃう人もいるんだと思う。
落ちこぼれと吹きこぼれは、おんなじ仲間ですよね。
鍋の外にいるということでは。
やっぱり、病気なんですよ。
とてつもなく優れている、っていうのは、
美人にしても何でもいいですけど「病」ですよ。
歩いてるだけで「誰?」って言われるのは、
バケモノを見ているのと同じ視線にさらされるわけで。
その不幸な人たちが生きていけるのが
芸能の世界ですから、芸能のパワーって、
おそろしいものがありますよねぇ。
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T |
よく考えたら、
その芸能界にあこがれるっていうのも、
わからないものがありますよね。
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糸井 |
やっぱり、特別なものがあるんじゃないかなぁ。
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T |
実際の芸能界を見ると、
ほんとうにごくごく一部の吹きこぼれ以外は、
予備軍かなりそこねというか、
そうでもない人が、けっこう多い・・・。
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糸井 |
仕事としてやれてる人、
っていうジャンルは、ありますよね。
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T |
「日本の芸能界って、2万人いる」
って話したことがあって、おもしろかったです。
・・・あ、あしたわたくし、海外にいて
フィナーレにいられないんですけれども、
改めてまた・・・。
じゃあ、放送加入者数の発表をします。
(前日比で58人)
こういうのを見ていると、
おおざっぱにイメージした
「ここでこう増える」「夏はこうやってのりきる」
とかいうものを考え直さないといけないだろうなぁ。
それを考えるのは、おもしろいです。
今日、広報の人がきて、
「電波少年的放送局、夏がボーナス商戦ですから」
っていう話をしていったんです。
「新聞の全面広告をやりましょうよ」
っていう話がきたんですが、悩みましたね。
いままでやってきたことは、
地上波を使ってやってきたことなんです。
いまも、電波少年で6分なり8分なりで
やっているということはそのモデルなのですが、
でも、そういうモノの売り方はいかんのかな、
というように思っています。
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糸井 |
8万円はともかく、800円は安いと思う。
8000円ぶんぐらい出してると思って
いいと思う。
ソフトがほしいのにハードが高いから、
8万円をタダにしてくれ、っていうのが、
ほんとうはやりたいことですよね。
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T |
ええ。
今日もその話をしていて、
8万円のハードルを超えた人しかこれない。
スカパーが1万円で売っていて
横の8万円を買う人は、よっぽどですよ。
全面広告をするなら、
8万円の機械を買うだけ買って、
視聴者プレゼントするほうがいいんじゃないか、
とか考えたりもするんですよ。
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糸井 |
そういうことをいくら考えた結果で
全面広告をするかによって、
全面広告の意味が変わってくるので・・・。
ぼくはそういうことを問われると思って
やっていますね。
ディズニーの人が今日きましたけど、
そういうことを話しあってきているんですよ。
「その金の使い道はもったいない」とか。
従来は広告屋と広告主が、ほんとうの意味で
横になって話しあうことなんてなかったけど、
いまはそういう例が出はじめている。
それができたら最高ですよね。
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T |
ひょっとしたら、横並びにいたら、
1億円を用意したものを200万にして、
別のところに使うという方法もありますよね。
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糸井 |
なるほどな・・・と言いつつ、
部屋の片付けをしながら生きるわたし。
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T |
やっぱり、室井(滋)さんに
怒られたことが、やや強迫観念になりますか?
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糸井 |
なります。
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T |
ぼくもそうなんです。
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糸井 |
ガミガミ言われることっていうのは、
ぼく、ウソでもいやなんです。
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T |
ぼくもそうですねー。
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糸井 |
あれは室井さんの素敵な芝居なんですよ。
「やっぱり猫が好き」的な芝居。
でも、ついていくのもイヤで、かといって
「おまえのほうが!」
って怒るのも体力が要るし。
・・・でも、聞いてるだけで
ものすごくつらいんですよ。
あの芝居のタイプが。
室井さん自身が
実生活であのタイプだとは思えないんです。
だから、その芝居、古い!って言いたくなる。
「からだにわるい」
「そんなことしてると病気になる」
そう言われるのが、いちばん腹立つんですね。
そのコンセプトでパワーをまいて通じるのは、
あなたのファンしかいなくなっちゃうぞ、
と思うんです。
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