糸井 |
やっぱり、ローマの皇帝って、
とんでもなく優れていたみたいですよ。
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T |
優秀な人が皇帝になるし、
世襲になると腐るとかあるけど、
例えば戦略的なシーザーのようなものと、
戦略的ではないマザー・テレサのようなもの、
どっちを自分が目指すのかなぁというものが。
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糸井 |
でも、マザーテレサ本人は、
いろいろな戦略をめぐらせたと思うよ。
つぶされないためだけでも
戦略って必要で。
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T |
運だけじゃ、あそこまでいかないですよね。
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糸井 |
行くはずないですよね。
それと、長い期間もってきた人って、
勝ち戦の次の段階での仕事で
たいへんな思いをしてますよね。
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T |
マザー・テレサが
ノーベル平和賞を取ったことを
サクセスストーリーと書いた本があったら、
おもしろいかもしれない。
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糸井 |
アンチよりも強くないといけないから、
精神的武装が要ったでしょうね。
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T |
その精神的な理論武装を、
マザー・テレサ本人がやっていたのか、
隣に誰かがいたのかを知りたいですよね。
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糸井 |
ひとりでどこまでも行けた人って、
きっといないんだろうなぁ、と思うんです。
ひとりの次の単位はふたりで、
ふたりはいますよね。
ホンダとか、創業者はふたり。
三人もそれ以上もあると思うけれども、
自分の考えを殺してでも誰かに合わせるという
瞬間を持つのが、組織の原因ですよね。
組織じゃないとできないことだよなぁ、
と思って、ぼくらも、脱職人化をしてますよね。
料理人の世界でも、有名な料理人は、
いい組織の中で働いていますよね。
ひとりで材料買いにいけないもん。
「俺は腕がいい」って言っても、
仕入れの時にお金がなければ仕入れられない。
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T |
昨日イトイさんと話してうちに帰って
電波少年をつけたら、ホストの零士さんが
「ぼくには、仲間か敵しかいませんから。
ともだちはいません」
とパーンと言われた時に、
すごいなぁと思ったんですよ。
・・・あ、いま、この部屋に
イトイさんを訪ねてくる人がたくさんいて、
すごいなぁと思うんですけど、
そのすごさって、なんですか?
ともだちが多いんですか?
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糸井 |
ぼくはそんなにともだち多くないと思う。
仲間ですね。
・・・あ、わかんない。
ちょっと、バナナ取ってきますね。
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T |
零士さんの話を聞いた時に、
イトイさんはともだちが多いというのか、
仲間が多いと言うべきなのか・・・と。
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糸井 |
ぼくは、場所をいつでも作りたい人なんですよ。
仕事を引き受けるのも
いろんな理由がありますけど、
場所がないと、おいでよ、
っていう理由もないし、
ぼくはひとりでいることが好きですから
そんなに人と話もしないし。
だけど、場所を作って話をすると、
反射的に考えないといけないことが出ますよね。
偶然言い出したことで相手が何か言ったり。
「・・・だとしたら、さぁ」
っていう会話が、ぼくはとても好きなんです。
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T |
ええ。
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糸井 |
昨日の零士さんと大貫さんたちの会話も、
ぼくはあんまりしゃべっていない。
「そう、そう」って言ってたりする。
でも、ぼくがいないとふたりは会わないし、
新しい組みあわせをつくることはできている。
新しい場所に「おいでよ」って呼んだ時に、
脳の回路が新しい組み合わせを見つけるように、
新しい何かができるかもしれないのが嬉しいんです。
イヤイヤ行ったけど、行ってよかった、
というメールを、大貫さんもくれたりするんです。
「沼澤さんは呼んでくれてとてもいい人だ」
というか・・・。
お風呂って、入る前はめんどくさいですよね。
でも、入ったあとには気持ちがいい。
ぼくはそういうお風呂みたいなものを
用意できたらいいなぁと思うんです。
それ以上に、
好きになってくれとは言わないですもん。
それはめんどくさいもの。
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T |
イトイさんのつくった場所への信頼感ですよね。
だからこれだけの人がくるわけだし。
貸し借りがあるわけでもないと思うんですよ。
「あそこいってもソンはない」
みたいなものが、あるんですよ、きっと。
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糸井 |
誰かと誰かが会うといいなと思っていても
やるチャンスがなければ、
実行されないですよね。
それがたまたまあればあるほどいいと思う。
電波少年という番組がなければ
この放送局がなかった、みたいなことですよ。
放っとくとなかったことが起こる、出会う、
みたいなことがあると、いいですよねぇ。
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T |
そこを敢えて聞くと、
「それが楽しそうなんだよな」
みたいなものがすべての行動原理で、
いいんですかね?
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糸井 |
いいんじゃないですか。
いろんなものや人の持っている
ポテンシャルを最大限に発揮するというのが
いちばんおもしろいですよね。
「おもしろかったー!」と言いたい。
そこには、生まれてきた理由、ありますよね。
それ以上何を望むんだ、っていう感じです。
そうじゃないことを望む人はそれをすればいいし、
「・・・のために」みたいなつきあいは、
しなければいいんですよね。
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T |
「おもしろかった」を作るために
場をプロデュースするというか、
そこにからだが反応していくということ?
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糸井 |
場をつくったことで、
誰かの仕事がうまくいけばおもしろいし、
新しいフィールドを開拓することで、
また可能性がひろがりますよね。
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T |
ぼくらのテレビや
イトイさんの広告とかには、ある意味
大衆を動かすということがあるじゃないですか。
そこに戦術とか戦略みたいな計算もしますよね。
そこは?
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糸井 |
計算しないほうがいいんじゃないの?
考えているようじゃ、動機がないんじゃない?
おもしろい、って思った時には
戦術なんか思わせないんじゃないですか。
そんな仕事は、ことわっていると思う。
会社員でもことわる仕事ってあると思いますよ。
それやるならこっちやらせてください、って。
断る権利がないときめるダンディズムも
あると思うけど・・・。
「俺がやれば何でもうまくいく」
と言いたい時期もあるかもしれないけど、
それは「妖刀」みたいなもので、
歯こぼれすると思う。
人から見ておもしろいことをしていると
見られたがって何かをするというよりは、
もうちょっとワクワクして、
失敗もしながら、成功して汗をかくには、
ということをしていきたいと思っているんです。
ただ、そこには問題があって、
そうすると、「笑い」から外れるんですよ・・・。
これは頭がいたいんです。
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