糸井 |
若くなったのは、恋でもしてるんですか?
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綾戸 |
まぁ、勝手に恋をしています。
ふたりの愛情が通ったということを
恋というのならば恋はしていないけど、
こっちからのだけ、なら、恋してますねぇ。
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糸井 |
このところ、ぐっと。
ラクそうだよね。
苦しそうなところがほとんど見えない。
苦しみは、薬味程度になったよね。
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綾戸 |
(カップ麺を食べて)あ、うまい。
うわー、ええ感じ。おいしいね。
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糸井 |
うん。
この新製品、おいしいよね。
ただ、いま、日清の担当者さんがいらしてたけど、
「これ、何度も食べてくれるかどうかは
まだわからないので・・・」
と、クールな言い方をしてましたよね。
たしかに、わざわざ
指名買いをするまでに至るのは、
どの商品でも、ほんとに難しいですよね。
音楽でも、きっとみんな、
「どれでも聴きまっせー」
って思っているんじゃないでしょうか。
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綾戸 |
あぁ、いいこと言う。
そのとおり。
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糸井 |
なんかいいじゃない、っていうところで
おしまいになっている通行人は
多いと思うんですけど、そこで
「アヤなんとかを買いたい・・・」って、
そこから、はじまるんですよね。
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綾戸 |
「いやぁ、ファンです! オリトさん!」
まちがえられたりしてもええねん。
そっから、はじまるんねん。
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糸井 |
まず、そこまでいくのも、大変だよね。
「ああいう人が、いるんだ?」
と思われるだけでも、大変だよ?
それは、綾戸さんが、
小さいライブをものすごくたくさん
重ねたから、できたんですよ。
年にどのぐらいやってました?
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綾戸 |
もう数わからないぐらい。
200以上やった時もありますね。
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糸井 |
その頃に綾戸さんが演っていた
一個ずつの会場って、
ジャズクラブだったりするから、
100人だったり200人だったりなんだよね。
100か所やっても、
100人だったら、1万人。
でも、たった1万人のその数を、
綾戸さんと社長さんが
信じたからできたんですよね。
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綾戸 |
そう。
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糸井 |
その頃、自分はネットをはじめたころで、
だめかもしれないけどやってみよう、
と思っていた時だったから、
綾戸さんも同じことを考えているんだ、
と感じたんですよ。
100か所やって1万人というのは、
公演がよくなかったらただの1万人だけど、
「ものすごくよかったよぉ!」ってなったら、
その後に爆発するポテンシャルは
10倍ぐらい大きくなるものねぇ。
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綾戸 |
「おおきに!今日100人!
うれしいわ!今度みなさん、
3人ぐらいで連れ立ってきてね!」
そう、よう言ってましたわ。
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糸井 |
それ、憶えてる。
終わったら必ず
レコードでサイン会をしてた。
確かに、音を持ってかえってもらうのは、
チラシを持ってかえってもらうより
数倍いいですよね。
ともだちに聴かせたりするから。
1年ぐらい、続けていましたよね。
ちょっと大きめのホールだと
「大きい!」って思ったもんね。
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綾戸 |
オーチャードホール(渋谷BUNKAMURA)に、
はじめて出た時、感激しましたわ。
たくさんミュージシャンが出る中の
ひとりとして、出たんですけど、
「いいなぁ!こんなところで、
できたらいいなぁ!」
そしたら、うちの社長が、
「そういう計画が、あるんだよ」
・・・そんなまさか、と思ってたけど、
半年後に、そこで演ることになったんだよね。
不思議なのは、半年後にそこで演っても
そんなに大きいとは思わなかったんです。
大きいは大きいよ?
でも、たった半年で、何かが変わった。
お客さんの半数以上が見えるし、
わたしは、あそこのホールは好きだなぁ。
隣の人に、イントロのたびに
「あの曲やであの曲やで!」
って説明している人のしぐさや、
そういう世間がよく見えるのが嬉しいね。
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糸井 |
もう大きさに憧れを抱くことはないよね。
いまは、どうなりたい?
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綾戸 |
何割ぐらい若いお兄ちゃんが
来てくれるか、かなぁ・・・(笑)。
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糸井 |
しょうがねぇなぁ(笑)
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綾戸 |
もう、怒られるかな(笑)。
おばちゃんが来ていても、
「長男、何歳ぐらいかなぁ」とか。
そのほかにも、
「この中で、恋がうまれるんじゃないかな」
とか、そういうことを思うことはあるよ。
自分の予測しないことで進んできているから、
自分の脳味噌では
予測もできないことが起こるんじゃないか、
と思っているんです。
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糸井 |
たとえば、アメリカに関して言うと、
綾戸さんって、アメリカでジャズをやっていて
そこから来たという出身があるから、
アメリカに行くということに関しても、
原寸大で考えられますよね。
こちらがわから
「アメリカに行くんだ!」
と思っているんじゃなくて、
「それも、あるかもね」ぐらいに思うという。
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綾戸 |
そうですね。
確かにアメリカでジャズは生まれているけど、
日本でもやっているから、充分楽しいです。
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糸井 |
そうですよね。
メジャーリーグもあるけど
日本の野球もある、っていうぐらいには
もうなっていますよね。
あっちにはいい選手もいるから、
やってみたい、という程度の原寸大。
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綾戸 |
そうそう。
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糸井 |
若いお兄ちゃんがいたほうが、
っていう言い方は、なるほどと思った。
「もっと掴みたい!」みたいな。
握力を強くしたい、みたいなね。
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綾戸 |
そうなんです。
いままで会えなかったような職種の人と
会えることが楽しみなんです。
予想もしない人と会えるのは、
宝くじにあたったようなもんでっせ。
だから、若いお兄ちゃんというのも
言葉のたとえですね。
自分がこのまま進んでいたら
絶対に会えないような人に
会うというのは、音楽のおかげでしょ?
それはもう嬉しいですよ。
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糸井 |
自分に二重丸つけながら歩いてるでしょ?
ここが足りないとか思っていないで、
「よし、よくやった!ここもやろう!」
って、元気よくやっている気がする。
曲の増やしかたも、気持ちがいいですね。
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