零士 |
体育会系の人って、
しめるところとゆるめるところが
ウマイんですよね。
たまに「しめ」と「ゆるめ」が
逆の人がいるんですよ。
・・・これはぼくら接客業には向いてないんです。
「いいやつ」で終わっちゃうんですよ。
いいやつなんだけどなあ、って。
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大貫 |
「いいやつ」ってやですよねぇ・・・!
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糸井 |
わはははは。
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沼澤 |
(笑)来た来た。
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糸井 |
いいやつには、泣かされるよねぇー。
ときどき、大貫さんのセリフの中に
俺も言いたかったってことが混ざる(笑)。
俺、たとえば、
「少年らしい」って誉め言葉が嫌いなのよ。
そう言われてよろこんでる人もイヤで・・・。
大貫さん、少年っぽいって自認している人はどう?
俺なんか、どんどんオヤジ好きになってるもん。
一般的に「オヤジ」と呼ばれている人たちの
覚悟とか決意とか、そういうのがすごい好き。
零士さんのおっしゃることも
オヤジと言えばオヤジだもんねぇ。
「しめる時はしめて!」みたいな。
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零士 |
昔から受けるタイプは同じなんですよ。
まず、かわいさがあって、
それが「ゆるめ」と「しめ」が逆になっちゃうと、
それはかわいいとは言われないんですよ。
「だらしない」っていうことになる。
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糸井 |
うん。
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零士 |
ぼくらの世界は
ほんとにタテ社会なんですけど、
その中でもできるやつっていうのは、
できないやつから見ると、
なんでこんなやつが!って思うぐらい、
許されることは許されながら上に来るんですよ。
その、できないやつ、っていうのが
割と「いいやつ」系なのかなぁ、と。
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沼澤 |
(笑)すっごいミュージシャンの世界に似てる。
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零士 |
おなじだと思いますよ。
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糸井 |
スポーツの人たちも、そうだよね。
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零士 |
われわれの世界は、露骨ですよね。
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沼澤 |
だから、音楽の世界でいて、
自分がどう思われているんだろう、
ということも、気になったりするんですよ。
あいつはしゃべってばかりで
生意気だ、とか言われたりしますし。 |
大貫 |
よくそういうことを言うけど
でも、そんなことないよ。 |
糸井 |
沼澤さん、ぜんぜん、
「かわいい」タイプですよ? |
大貫 |
ねぇ、
「人に迷惑かけちゃいけません」
みたいに育てられた?
すっごい、すりこまれてる?
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沼澤 |
それはすごいあった。
たとえば、
お金を借りて買わないといけないことは
できないことだから、それはするな、とか。
人に頼ることは、ちがう、とか。
それはいちばんいけないことだと
言われてきたんです。
だけど、ぼくはアメリカに行く前の
日本にいる時には、ずうっと、
人に迷惑をかけ続けていたんですよ。
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大貫 |
ひとりで生きられないから、
そりゃ、あるよ。
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糸井 |
人生は、とばっちりの連続だよ。
沼澤さんは、とくにすごかったの?
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沼澤 |
ええ、すごかった。
音楽をやる前に、野球とかいろいろ
やっていた時代っていうのは、もうほんとに
絶対にそいつとは友達になりたくないやつで。
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糸井 |
自信を持って言うんだけど、
それがどうも見えてこないのよ。
ほんとにそう?
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沼澤 |
そうなの?
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大貫 |
だったら、そうだったのかもしれない。
今は違うけど、ほんとうは
ものすごくイヤなやつだった、という。
なんかの時に、ポット出てくる・・・?
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糸井 |
それを気にしたり、
心配して暮らしているのかなぁ。
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沼澤 |
いや、アメリカにひとりで行って、
はじめて、どんなに自分がやなやつかわかった。
自分の部屋に電気をひくための
電話をかけることにしてもこわくてできないし、
洗濯も何もかもひとりでやらなきゃならない。
・・・それを知りながら、英語もはなせずに
ひとりで暮らしている部屋の中で、
それまでやってきたことを、
異様に考えるんですよ。
とんでもないことを、今まで、
知らずにいたとは言え、20何年やってきたなぁと。
ドラムをやったりひとりの生活をしたりしはじめて、
その後はこれをくりかえしてはならん、と。
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糸井 |
これは、本人にしかわからないかもね。
その段差みたいなのは、ほんとは
右か左かちょっとずれたものかもしれないけど、
本人にとってはすごい違いがある、というか。
まわりの人は、そんなに思っていないかもよ?
よく俺、昔の自分に会ったら
説教してやりたいぐらいだと思っているけど、
昔からの友達は今もつきあっているから、
そいつからは、たいして変わったとは
思っていないのかもしれないよね。
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沼澤 |
でも、ぼく、
そのアメリカに行く前の友達で
いま会う人って、ひとりもいないですよ。
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糸井 |
俺もある期間のともだちは、いないよ。
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大貫 |
わたしもそうだよ。ふたりぐらい。
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糸井 |
そんなんだよね。
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零士 |
気をつかって会わなくなることもあるし。
ぼくのオンタイムは
昔の友達にとってはオフだし。
交流を持てないことがある。
ぼくは、自分とおなじジャンルの人間には
友達を作らないようにしているんです。
このジャンルでは、
「仲間か、敵か」だけです。
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糸井 |
おぉ・・・。
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沼澤 |
そっかぁ。
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零士 |
自分のまわりは仲間。
だけど、まわりは敵ですよ。
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沼澤 |
商売敵という。
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零士 |
敵を倒すことよりも、
仲間を維持することのほうが難しい。
チームの仲間を増やしたりすることや
ケアしたりすることのほうが、
敵とドンパチすることよりも
ずっと難しいですよ。
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大貫 |
そうですよね。
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零士 |
自分のピラミッドの崩れを防ぐという。
軍の人とかもそうだと思う。
敵がしっかりしていて
戦争だ、となったら総力で戦えるけど、
仲間の裏切りをおさえることのほうが、
難しいんじゃないですかね。
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糸井 |
ゴッドファーザーのような話だね。
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大貫 |
(笑)
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