ITOI

頭出し:電波少年的放送局の62時間。
いくつになっても、馬鹿は馬鹿。

臨時更新で、その時その時の会話をお届け!
数時間ずつ更新で、水曜深夜の座談をご紹介!!

<第4回(18時半に更新!)>

零士 自分の仲間の中でも、
チームリーダーやライバルよりも
上に早く行きたがっているやつもいるから、
そこは内乱になってしまうわけで、
チームを保つのは、むずかしいですよ。
糸井 なるほどね。
零士さんの世界は、
上っていうものが、よく見えるじゃないですか。
沼澤 売り上げとかね。
糸井 生活が上とか。
このブランドよりこのブランドが上とか、
ぜんぶタテの目盛りがついているじゃないですか。
零士 ついてますね。
糸井 音楽って、タテの目盛りがすくない。
沼澤 うん。まったくないかもしれない。
糸井 たとえば沼澤さんが、ドラム叩いている人間として
すっげえ若いやつで
ドラムのうまいやつを見つけたとしたら、
「すげぇ」って言えるもんね。
沼澤 ちょっとイイのがいるから、見てよ!
ってなっちゃう。
糸井 プログラムの世界もそうみたいです。
若くて社長になっちゃった人がいて、
プログラマーなんですけど、ぼくが
「よく年輩の人たちがついてきましたね」
ときくと、
「プログラムの技術があると、
 まずそこは無条件にリスぺクトしますので、
 年上とか年下とかが関係なかったですね」
って言うんです。
沼澤 技術的にも芸術的にも
すごいやつっていると、嬉しいですよ。
「うわ、すごいなきみ!」
・・・その時に、彼と自分との
収入なんてまず考えなくて、
君のプレイで自分の心が動いたという
その時点で、イエイー! で、終了、という。
大貫 そうだよね。
零士 それはわれわれサービス業とは違いますね。
近くにおんなじような店ができたら、
それは当然商売敵ですから。
メシ屋でもそうですよ。
きっと、寿司屋もラーメン屋もみんなそうですよ。
沼澤 具体的なお店があるから、そうなりますよね。
零士 そうですよ。
近くにできたら、
ふざけんじゃない、あそこがつぶれたら
そこの客がぜんぶうちに来る、そう思います。
沼澤 それはないよね。
糸井 ある人も、いるとは思うけどね。
音楽をやる理由って、いろいろだから。
沼澤 大貫さんの音楽に
ぼくらが惹かれるって、
そういうことじゃないですか。
大貫 関係ないほめかた(笑)。
零士 ふふふ。
糸井 (笑)大貫さんのその速度、いいねぇ!

零士さんの話もちゃんとおもしろがってるし。
また、零士さんは零士さんで、
大貫さんたちの話を、おもしろがれるんだね。
零士 おもしろいですよ。

ぼくら、何でそんな人の名刺持ってるの、
っていう方々と、ひょんなことから
お知り合いになる時もあるんです。
それがおもしろい。

朝方にうどん食べている時に
横に座っていた方にヒジがあたった、
そんなきっかけで仲良くなった
次の日、お店の前にとんでもない
デカいクルマがとまるんです。
ホテル王。うどん食ってた人だったんです。
・・・みたいなことですよ。

だけど、ぼく、今のミュージシャンの話は、
ぜんぜんわからないですね。
ぼくは35年生きてきていて。
商売敵にならないって、ありえないから。
糸井 (笑)
零士 例えば政治の世界はホストの世界と似ているし、
同じ分野なら片方がつぶれたほうがいいと思うし。
いいものがすばらしいというだけというのは・・・。
糸井 そうかー。
零士さんはトップだから聞けるけど、
ミュージシャンのその話っていうのは、
もうすこし下のランクのホストだとしたら、
「そんなこと、あるかよ!」
「きれいごと、言うなよ!」
と言いたくなる話なんだ。
零士 でしょうね、きっと。
「そんなんでいいのか!おかしい!」とかね。
糸井 でも、零士さんの場合、
「それは・・・驚いたぁぁ!」
っていう。
大貫 音楽とか絵をかくとか
何でもそうかもしれないけれど、
「そのことは、その人しかできない」
ということなんですよね。
唯一無二。
ピカソでもみんな、ひとりしかいない。
極めた人は、みんな、ただひとり。

そのことでたまたま
お金ができる人もいるんだけれども、
たとえばモジリアニみたいに、
もうお金がなくて血をはいて、っていうあとに
あんなに評価されていくという。
糸井 結局はあの作品はお金を稼ぎ出したわけだもんね。
大貫 すごいですよ。
ほんと悲惨な人生だったのに。
糸井 稼いだお金とその人が重なることがなかったという。
大貫 ええ。
沼澤 クラシックの作曲家の方に、
そういう人が多いですよね。
大貫 わたしたちのやっている商業音楽にも、
やっぱり、いまのような話は、ありますよね。
すごい長いキャリアをやっていて、
いつもチャートにはのらないけれども、
あらゆるミュージシャンから尊敬されていて、
その人がいるから若い人が育つ、
っていうのもあるし。
沼澤 チャートに乗ったほうが
いいかどうかについては、
その人たち本人は・・・
糸井 考えないはずはないと思うんです。
たくさんの人にきかせたいとか、
遠く、広くきかせたいとか。
遠くが見えないから近くが見えないとか、
もちろん、欲望のかたちはある。
だけど、タテ軸以上に、
ヨコ軸に強欲なんですよ、音楽の人たち。

作品のためには、
なんて図々しくもわがままな、
人を人とも思わない人なんだ、と
驚く場面に遭遇する時には、
ぼくは零士さん側として見ているかもしれない。
視点がいろいろ、あっちこっちに動くんですよ。

その職業にいない人の中にも、
語りたがる人もいるだろうし。
評論家の中にも、
一流とそうじゃないものがありますし。
沼澤 そうなんですよ。
評価を読むと、はっきりしているのは、
リスぺクトを持って感想を書いているか、
自分の立場が評価をしてやっている、というか。
そのどちらかなんです。
糸井 それは、ファンもそうだよね。
買ってやってる、っていう人と、
わぁ、うれしい!っていう人と。


(※数時間後に、つづきをおとどけです)

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2002-05-23-THU
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