糸井 |
高阪くんと話をしてると、
格闘技全体のことが
ものすごくクリアに見えるよね。
つっぱらずに話すじゃない?
「そのまんま」で話してくれますから。
似てるのは、宇野薫選手ですよね。
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高阪 |
そうですね。
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糸井 |
アメリカで11秒ぐらいで
彼が負けた試合があったんですけど、
ちょっと格闘技を知った人たちどうしは、
「あれは、宇野さんの調子がよすぎて・・・」
みたいな言い方をしていたんですよ。
本人に、そうですってねぇ、って言ったら、
「いや、相手が強かったんですよ」。
その言い方がものすごいストレートで、
謙遜じゃなくて、相手が強かったということを
その時のレベルを知って、
ちゃんとモノサシをあてている。
その様子がかっこよかったなぁ。
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高阪 |
うん。
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栗山 |
なかなか言えないですよね。
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糸井 |
言えないですよ。
格闘をやっていると、
一本倒れちゃうとそのあとに
返すまでが、すごい長いじゃないですか。
野球の選手だと、次の日に返せるけど。
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栗山 |
ええ。次の打席で返せたり。
あぁ・・・ほんとにそうですね。
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森川 |
高阪くん的には、
このあいだの高阪くんの試合は、
どうだったんですか?
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高阪 |
あれは・・・相手が重かったんですよ。
昔だったら、重くて動けないのが
当たり前だったんですけど、
最近は、重くて動けるのが当たり前なんで。
だから・・・自分も重くなります、
っていうのが今後への結論ですね(笑)。
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糸井 |
一試合の中に、ここだ、って言って
攻撃するところは、二回ぐらいなんだよね?
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高阪 |
だいたい二回ですね。
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栗山 |
そうなんすか。そんなに少ないんですか。
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高阪 |
明らかに勝負どころだな、ってわかるのは、
五分の試合ならだいたい二回。
まぁ、偶然的に入っちゃって
気がついたら勝っちゃうという時もあるんですけど、
それは相手がミスったりしているので、
自分の中では、勝ちには入らない。
だから、やはり二回ですね。多くて三回。
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糸井 |
栗山さん、こういう話おもしろいでしょ?
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栗山 |
ええ!
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糸井 |
その二回は、向こうもわかってるんだよね?
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高阪 |
ええ。
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糸井 |
高阪くんは、早さでいっていたんですよね。
でも、今回帰ってきたら
「重くならなきゃ」って・・・(笑)。
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高阪 |
だって、やることやることすべてに
重さとスピードと技術を乗せて
かわされてきたら、そりゃあ、
自分がそうなるしかないっていう。
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糸井 |
(笑)
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森川 |
いまは・・・110キロぐらいを目指すの?
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高阪 |
いや、110行ったら、
自分の場合は、重すぎて動けなくなりますね。
ある程度スピードを保ちながら
最大限に重くするというと、自分は
106キロぐらいかと思っています。
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栗山 |
いまでも100キロ超えていて
スピードを保つの大変だよね。
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高阪 |
今はだいぶできるようになってきたんです。
昔ならぎりぎりだったんですが、
いまは102キロでも足が浮く、
という感触なんですよね。
ケビン(山崎)さんのトレーニングの
おかげだと思うんですけど。
アップしている時なんか、
何やっても息があがらないし。
試合中動いていても、意識して
動いているより先にカラダが行くというか。
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栗山 |
あぁ、なるほど。
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高阪 |
ただ、重くてつぶされちゃう。
向こうも技術がある・・・
だったら、体重を増やして、
今のスピードを保ちたい。
ぎりぎりのラインで勝負しよう、と
思うようになってきたんですけど。
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栗山 |
そうですよね。
動けるんだったら、
重いほうがいいわけですからねー。
しっかし・・・すごいなぁ。
だんだんレベルがあがるんですね。
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高阪 |
ええ。昔は格闘技っていったって
手探りの状態で、これがいいんじゃないか、
といったら返されて、それ以外だったら、
というような理詰めだったはずなんですよ。
情報があまりなかったんです。
でも、今は、そうして試行錯誤の結果、
「こう返すならこうだから、
入る角度とかを変えながら」
とわかったことは
ぜんぶマニュアル化されていますから。
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栗山 |
あぁ、なるほど。おもしろいなぁ!
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高阪 |
だから、才能があれば、
一回でマニュアルをおさえて、
いままでのスポーツの遺産の厚みに
自分のオリジナルの動きをたしていく、
そういう感じになっていますね。
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栗山 |
そうかー。
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森川 |
野球選手は、体重を
コントロールしたりするんですか?
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栗山 |
自分のベスト体重を探していくわけですけど、
これもさっきお聞きした内容と似てますね。
自分ではこのぐらいだと思っていても
違っていたりするという・・・。
桑田が、入団したあとに
十何キロプラスして、85キロぐらいまで
持っていったんですよ。
毎年3キロぐらい足していって。
たぶんいまは78キロぐらいだと思うんですが、
「やってみなきゃわからない」
というのは、桑田の言うとおりで。
もっと前のぼくらのころは、
このくらい、というイメージのままで、
それ以上超えると罰金とかでしたからねぇ。
キャンプインで一キロにつき一万円とか。
それがベスト体重なのかどうかはわからない。
確かに、同じように、
体重があってスピードがあるとすれば、
おなじスピードなら、体重があるほうが
ボールは遠くに飛ぶところは、ありますね。
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森川 |
自分というクルマを
メンテナンスしてるみたいで、
おもしろいですね。
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高阪 |
ええ。
いかに客観的に自分を見れるか、
でしょうね。
それができないと、はっきり言って、
試合でも勝負にならないですから。
試合をしているんだけど、
頭はちょっと離れたところにいて、
自分で自分のセコンドをするるみたいな
状態にならないと、ぜんぶの動作が
いちいち、遅れてしまうんですよ。
人に言われてやることって、やっぱり、
必ず、遅れちゃうじゃないですか。
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栗山 |
そうだよなぁ。
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