ITOI

頭出し:電波少年的放送局の62時間。
いくつになっても、馬鹿は馬鹿。

臨時更新で、その時その時の会話をお届け!

[鶴瓶さんと、お茶の間的な会話]
<第3回 金玉おじさん>


糸井 荒っぽい地域?
言葉よりも手が出るような。
鶴瓶 まぁ、そうですね。
その地方はヤシタって名字が多いんですけど
こないだも兄貴から電話がかかってきて、
「おい、こないだ、
 ヤシタと林のおっちゃんが、
 植木の位置が悪いっていうことで、
 殴りあいのケンカしたぞ」って。
糸井 だいたいなんでも殴るんですね。
鶴瓶 そう。殴りあいよ。
70歳どうしで殴りあいなのよ(笑)。
もと警官だから、強い。
・・・そんなん、植木の位置が
悪いっていうことで・・・
室井さん、あんたがトークせいゆうたから
トークしてんのに、なんで掃除機かけてんの。
いい間でやってくださいね。
糸井 でも、70歳どうし、いい戦いだね。
鶴瓶 いい戦いだよ。
林のおっちゃんとクロエのおっちゃんゆうのが
警官で、このクロエのおっちゃんっていうのが
こどもを見ると追っかけてくるのが好きで、
ものすごく怖かったんですよ。
糸井 (笑)
鶴瓶 クロエのおっちゃんがきたら
ぼくらみんな、ワー!って逃げましたもん。
何もしないんですけど、
こどもがかわいさで叫ぶんですけど、
こどもにとってはごっついから。
糸井 クロエのおっちゃんで
おねしょした人もいるでしょうねぇ。
鶴瓶 いるいる。
いなかったですか?
「悪いことしたら、
 クロエのおっちゃんのとこ連れてくぞ」
みたいな人が。
糸井 いや、うちのまわりには
そういうスッキリした人はいなくてね。
どちらかというと着物をきて粋筋みたいな、
たぶん性病にかかっていたと思うんですよ。
そういう人がいて。
鶴瓶 (笑)
糸井 それで、すっかりおかしくなっちゃって、
「金玉おじさん」と呼ばれる人として。
鶴瓶 (笑)もとは粋やったのに。
糸井 もとは円生さんのような人だったんです。
三味線の音と一緒にあらわれるような。
鶴瓶 ・・・ちょっと、室井さん、
あんた掃除機、露骨やないですか。
いまね、金玉おじさんで盛り上がってるんですよ。
だいじなところで入ってくるなぁ。
糸井 金玉おじさん、って、
こどもとしたら、もう、
言いたくてたまらない人なんですよ。
おじさんの名前を呼ぶだけで
「金玉」って言えるわけですから。
鶴瓶 こどもってなんで
金玉って言いたいんでしょうねぇ。
糸井 やっぱり、言っちゃいけない、
って言われるからでしょうかねぇ。
鶴瓶 ただ、女性の性器については
言わないじゃないですか。
糸井 むしろ言わないように
かなり意識してますもんね。
鶴瓶 そう。でも、ちんちんに関しては
もう、ええように言いますもんなあ。
糸井 ええ。
いまでも言いたいぐらいです。
金玉おじさんの話ができるだけで、
イキイキしてきましたもん。
鶴瓶 金玉おじさん、円生ゆうたら男前でっせ。
糸井 若い頃はもてたんだろうなぁという人が、
夏なら麻の着物をきているような人が
巡回しているんですよ、市内を。

そして来ると、こどもたちは
「お、金玉おじさんが来た、
 金玉おじさんが来た!」って言う。

おじさんは、来ると、どこかに腰掛けるんですよ。
どっこいしょ、って。
その日によって、座る場所は違うんですけど。
で、人が来るのをまってるんですけど、
こどもしか来ないですよね。

そんで、こどもがちょっと遠まきにして
見ていると、こどものひとりと目があうと
そのこに向かって、しゃべりだすんです。
「金玉が売っててなぁ・・・」って。
鶴瓶 (笑)
糸井 内容としては、それだけなんですよ。
「こんなに大きなのが300円だった」とか。
鶴瓶 でも、それを喋り出すのがうれしい。
糸井 (笑)うれしいのよ!
おとななのに、金玉って言う人がいるんだから。
鶴瓶 昔はいろんな人がいましたよねぇ。

アオダイショウをつかまえて
ぐるぐる振りまわして
笑うおっちゃん、いましたね。
みんなが怖くてキャーっていうのを
つかまえる優越感、ゆうか。

グッとつかまえて、まわりは
気持ちわるがっているんですよ。
糸井 おとなはどうするの?
鶴瓶 おとなは、
「寄ったらあかんで」
って言う。
糸井 ハハハ(笑)。
そりゃ、言うよね。
金玉おじさんのそばも、そうだった。
親は、金玉おじさんっていう
言葉さえ言いたくないから、
「あのおじさんのそばには・・・」って。
鶴瓶 昔の親って、差別のことを言いましたよねぇ。
糸井 うん。


(※つづく)

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2002-05-27-MON
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