糸井 |
荒っぽい地域?
言葉よりも手が出るような。
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鶴瓶 |
まぁ、そうですね。
その地方はヤシタって名字が多いんですけど
こないだも兄貴から電話がかかってきて、
「おい、こないだ、
ヤシタと林のおっちゃんが、
植木の位置が悪いっていうことで、
殴りあいのケンカしたぞ」って。
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糸井 |
だいたいなんでも殴るんですね。
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鶴瓶 |
そう。殴りあいよ。
70歳どうしで殴りあいなのよ(笑)。
もと警官だから、強い。
・・・そんなん、植木の位置が
悪いっていうことで・・・
室井さん、あんたがトークせいゆうたから
トークしてんのに、なんで掃除機かけてんの。
いい間でやってくださいね。
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糸井 |
でも、70歳どうし、いい戦いだね。
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鶴瓶 |
いい戦いだよ。
林のおっちゃんとクロエのおっちゃんゆうのが
警官で、このクロエのおっちゃんっていうのが
こどもを見ると追っかけてくるのが好きで、
ものすごく怖かったんですよ。
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糸井 |
(笑)
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鶴瓶 |
クロエのおっちゃんがきたら
ぼくらみんな、ワー!って逃げましたもん。
何もしないんですけど、
こどもがかわいさで叫ぶんですけど、
こどもにとってはごっついから。
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糸井 |
クロエのおっちゃんで
おねしょした人もいるでしょうねぇ。
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鶴瓶 |
いるいる。
いなかったですか?
「悪いことしたら、
クロエのおっちゃんのとこ連れてくぞ」
みたいな人が。
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糸井 |
いや、うちのまわりには
そういうスッキリした人はいなくてね。
どちらかというと着物をきて粋筋みたいな、
たぶん性病にかかっていたと思うんですよ。
そういう人がいて。
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鶴瓶 |
(笑)
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糸井 |
それで、すっかりおかしくなっちゃって、
「金玉おじさん」と呼ばれる人として。
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鶴瓶 |
(笑)もとは粋やったのに。
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糸井 |
もとは円生さんのような人だったんです。
三味線の音と一緒にあらわれるような。
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鶴瓶 |
・・・ちょっと、室井さん、
あんた掃除機、露骨やないですか。
いまね、金玉おじさんで盛り上がってるんですよ。
だいじなところで入ってくるなぁ。
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糸井 |
金玉おじさん、って、
こどもとしたら、もう、
言いたくてたまらない人なんですよ。
おじさんの名前を呼ぶだけで
「金玉」って言えるわけですから。
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鶴瓶 |
こどもってなんで
金玉って言いたいんでしょうねぇ。
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糸井 |
やっぱり、言っちゃいけない、
って言われるからでしょうかねぇ。
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鶴瓶 |
ただ、女性の性器については
言わないじゃないですか。
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糸井 |
むしろ言わないように
かなり意識してますもんね。
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鶴瓶 |
そう。でも、ちんちんに関しては
もう、ええように言いますもんなあ。
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糸井 |
ええ。
いまでも言いたいぐらいです。
金玉おじさんの話ができるだけで、
イキイキしてきましたもん。
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鶴瓶 |
金玉おじさん、円生ゆうたら男前でっせ。
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糸井 |
若い頃はもてたんだろうなぁという人が、
夏なら麻の着物をきているような人が
巡回しているんですよ、市内を。
そして来ると、こどもたちは
「お、金玉おじさんが来た、
金玉おじさんが来た!」って言う。
おじさんは、来ると、どこかに腰掛けるんですよ。
どっこいしょ、って。
その日によって、座る場所は違うんですけど。
で、人が来るのをまってるんですけど、
こどもしか来ないですよね。
そんで、こどもがちょっと遠まきにして
見ていると、こどものひとりと目があうと
そのこに向かって、しゃべりだすんです。
「金玉が売っててなぁ・・・」って。
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鶴瓶 |
(笑)
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糸井 |
内容としては、それだけなんですよ。
「こんなに大きなのが300円だった」とか。
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鶴瓶 |
でも、それを喋り出すのがうれしい。
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糸井 |
(笑)うれしいのよ!
おとななのに、金玉って言う人がいるんだから。
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鶴瓶 |
昔はいろんな人がいましたよねぇ。
アオダイショウをつかまえて
ぐるぐる振りまわして
笑うおっちゃん、いましたね。
みんなが怖くてキャーっていうのを
つかまえる優越感、ゆうか。
グッとつかまえて、まわりは
気持ちわるがっているんですよ。
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糸井 |
おとなはどうするの?
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鶴瓶 |
おとなは、
「寄ったらあかんで」
って言う。 |
糸井 |
ハハハ(笑)。
そりゃ、言うよね。
金玉おじさんのそばも、そうだった。
親は、金玉おじさんっていう
言葉さえ言いたくないから、
「あのおじさんのそばには・・・」って。
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鶴瓶 |
昔の親って、差別のことを言いましたよねぇ。
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糸井 |
うん。
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