「なんか、いい写真」を撮るひと。

photo by akemi

犬や猫と人が親しくなるためのアプリ、
それが「ドコノコ」です。
コメントをつけたり、迷子を捜したり、
いろんなことができますが、
主役はやっぱり「犬や猫の写真」です。
半年ほど前から一般の人を交えて
テストプレイをしていたのですが、
はじめてすぐ、話題になった人がいました。
「あの人の写真、いいよね」「すごくいい」
「誰? プロ?」「じゃないみたい」
ニックネームは、akemiさんとKiyomiさん。
その「なーんか、いい写真」は、
どんな人が、どんなふうに撮影しているのか?
「ほぼ日」の乗組員が取材します。

ひとり目:akemiさん(前編)
  まずは猫と遊んで、だんだんと仲よくなると、
  写真を撮らせてくれるようになります。

ゆーないと
まずは、ドコノコを使い始めた
きっかけについてうかがってもいいですか?
はい、きっかけは「いぬねこなかまフェス」ですね。
そこでの告知でドコノコのことを知って、
ほとんど毎日のように使っています。
ゆーないと
ありがとうございます。
社内で「すごくいい写真を投稿する人がいる!」
という話になって、その人がakemiさんだったんです。
akemiさんと面識のある人が社内にいなかったので、
「akemiさんって誰だろう?」って話題になりましたよ。
本当ですか?
うれしいです。
おうちで飼っていらっしゃる
イヴちゃんとチョコちゃんの写真だけじゃなくて、
外で見かけた犬や猫の写真も、
すてきだなと思いました。

▲ akemiさんが「ドコノコ」にアップしてくださった
 写真のほんの一部。

ありがとうございます。
イヴやチョコだけじゃなくて、
どんな猫ちゃんでもとにかく大好きなので、
猫の写真を撮るために
全国あちこちに旅行に行っているんです。
青島にも行きましたよ。
青島って、猫がたくさんいる愛媛県の島ですよね。
そうです。
ちなみに、青島を発着する船の本数は、
1日に2本しかないんです。
だから、朝に島に着いたら、
乗ってきた船ですぐに帰るか、
8時間後に出る次の船で帰るか、
その2つしか選べないんです。
うわ、難しい選択ですね。
そうなんです。
それで結局、わたしは
8時間後に帰ることにしました。
でも、島で退屈することはなかったです。
猫の写真を撮るのに夢中で、
8時間がすごくあっという間に感じました。
そのまま島に野宿したいって思うほど楽しかったです。

ほんとうに猫の撮影が好きなんですね。
猫の撮影は、お仕事とは関係はないんですか?
はい、ありません。趣味ですね。
すてきな写真ばかりなので、
お仕事で撮影をされている方なのかと思いました。
うれしいです(笑)。
写真の撮り方についてもうかがいたいんですけど、
やっぱり、いい写真を撮るためには、
長い時間、じーっとカメラを構えていないとだめですか?
うーん、撮影時間はたしかに長いかもしれませんけど、
ずっと構えているわけではないです。
まずは猫と遊んで、だんだんと仲良くなると、
サービスで写真を撮らせてくれる、という感じです。
遊んでくれたお礼に、ってことですよね。
猫がポーズをとってくれるというか。
そうですね。
あと、前に、ある猫に会ったときに、
あんまり近付かないで様子を見てたら、
その猫がチラチラってこっちを振り向いてきて。
ええ。
おいでおいでって言ってる気がして、
その猫について行ったら、
行った先に他の猫もたくさんいたんです。
おお、猫の楽園ですね。
そうなんです。
猫の視線や気持ちがわかるように、
いつも観察してアンテナを張っていると、
自然といいシャッターチャンスに出会える気がします。
猫の気配って、たしかにありますもんね。
ありますよね。
それと、わたしは写真をとにかくたくさん撮るんです。
動物好きの人って、
わりとたくさん撮るような気もするんですけど....。
そうなんですけど、わたしは、
カメラの電池が切れるか、
SDカードの容量が無くなるまで、
1日中飲まず食わずで
ひたすら撮り続けちゃうんですよね。
えーっ、すごい!
だからいい写真が撮れるんですね。
撮った写真の全部を振り返ることは
できないですけどね(笑)。

でも、akemiさんの猫への大きな愛情を感じます。
撮影のときは、どんな服装なのですか?
ええと、今日は、
よく着ているものを持ってきました。
(バッグをさぐる)
これがいつものコーディネートなんですけど、
Tシャツとロングスカートと、レギンスです。
思ったよりふつうのかっこうで、
かわいらしいです。
地面に這いつくばって撮影していると、
ロングスカートの裾が広がって、
気がつくとその上に猫が2、3匹
乗っていることがあるんです。

▲ 取材は社内で行ったため、ぬいぐるみで
  再現していただきました。
  ご持参のスカートの上に、猫が乗ったところ。
  (だいぶシュールで、すみません)

自分から近づいてくるんですね。
そうなんです。
あと、寒い時期に
しゃがんだ姿勢で撮影をしていると、
猫がスカートの中に入ってきて、
暖を取るんです。
すごい。akemiさんには、猫を引き付ける
引力のようなものがあるのかもしれないですね。
もちろん、写真を撮る技術もたしかだと思うんですけど、
カメラを使うのはもともと得意だったんですか?
学生のときに、
友人に借りてカメラをすこし触ってました。
でも誰かからみっちり使い方を学んだことはないです。
独学なんですね。
カメラも見せていただいていいですか?
はい、オリンパスの「OM-D E-M5」ですね。
軽いのが気に入って、これにしたんです。
見た目もレトロで、かわいいですね。
今日は、いつもの撮影の様子を
再現してほしいなあと、思っているんですけど。
いいですよ。
ありがとうございます。
まず、おうちで撮るときはどんなふうに撮るんですか?
おうちの猫は、まず、
「おいでー」って声をかけて、
わたしがいてほしい場所にいてもらって、撮ります。
あれ? ふつうですね(笑)。

▲ 猫の正面から、ふつうに撮る。

たしかにふつうですね(笑)。
変なお願いをしてすいません。
いえいえ、ほんとうにふつうなんです。
ごはんで誘ったりもしないです。
ただ、2匹それぞれに好きな音があって、
その音で目線をカメラに向けるようにはしていますね。
イヴは紙をさするようなカサカサって音が好きなんです。
チョコは、口でチュパ~って言うと、
こっちを向いてくれます(笑)。
おもしろーい(笑)。
それじゃあ、外の猫を撮るときはどんな感じですか?
外猫ちゃんの場合は、まず、「こんにちは~」って。
ちゃんとあいさつから始めるんですね。
はい。それで、ちょっとずつ近づきながらも、
猫の方を見ないようにして、
興味がないふりをするんです。
はー。その後はどうするんですか?
しばらく周りの風景を撮って、
それでも近くにいてくれたら、猫を撮ります。
それでもまだ、猫には触りません。
なるほど。
いきなり触ると、びっくりしちゃいますもんね。
はい。しばらく撮影したら、
ちょっとずつ触りながら、
目やにとかを取らせてもらいます。
そうやって、しゃがみこんで
撮ったり触ったりしているうちに、
さっき話したような感じで
スカートの後ろ側の裾にほかの猫が乗っちゃって、
わたしは動けなくなるんです。
だから、スカートをずらさないようにしながら、
上半身だけを乗ってきた猫の方に向けて、パシャって。
撮るんですね(笑)。

▲ akemiさんよりお借りしました。
  スカートでくつろいでいる猫を、撮る。

そうです(笑)。
たしかに、なんだか猫の方から
寄って来てもらえるんですよね。
いいなあ、うらやましいです。
akemiさんの撮影に1度ついて行きたい。

▲ akemiさんの撮影って、こんな‥‥。
  ついて行きたい‥‥。

(つづきます。
 次回も、akemiさんへのインタビューです。)
2016-06-05 SUN
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illustration : Ayumi Ohashi