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「ほぼ日刊イトイ新聞の本」が出るよ!

【以前のほぼ日 その9】
ほぼ日・1周年近くの5篇。


99年6月の今日のダーリンから、です。
今回は、かなりピシッとひき締まったもので、
なおかつ、反響の多かったものを、5つ選びました。

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1999-06-06

とうとう1年です。
毎日、ここで何か言ってるせいか、
あらためて今日という日についての感慨もわきません。
そんなもんなんでしょうかねぇ。
こういう普段な気持ちばかりじゃ、つまらないので、
人間たちは儀式や祭りをしてきたんでしょうね。
ぼくは、「ガツガツ大作戦」のことで頭がいっぱいさ。
いろんないいことが実現しそうな下地ができてますから、
ぜひとも「センサー会員登録」をしておいてください。
後悔はさせませんぜ。
・・・この言い方はかえって怪しいか。
今日、いちおう、行事はあるんです。
「ポカスカジャン」の3人に、
鼠穴秘密ライブをやってもらうんです。
お客たちは入場料と靴を入れるビニール袋と、
自分用のドリンクをもってきて、
ぎゅうぎゅう詰めで、お笑いライブをたのしみます。
それにしても、明日も「ほぼ日」は休まないわけだし、
やることはいつもと変わらない1周年記念日です。
1年間、ずっと続いている読者の皆さんも、
昨日はじめて訪れたという新読者の皆さんも、
執筆陣の皆さんも、スタッフのみんなも、
スポンサーになってくれている皆さんも、
いろいろ陰で支えてくれている皆さんも、
それぞれの家族の皆さんも、
ほんとに、どうもありがとう。
明日からも、がんばります。


1999-06-07

全国の高齢ネット利用者からのメールを
いただくようになりました。
妻の母「やちよちゃん」も、
「金のガツガツ大作戦」を読んで、
センサー会員登録をしてくれたそうです。やったーっ。
若い時には、お金はなくても行動力があります。
いわば狩猟的な生き方ができているわけで、
「ほぼ日」執筆者のシルさんのように、
「都会のなかにさえいれば、
泊まるところがなくてもなんとかなる」なんてことも、
できますが、年齢が高くなっていくと、そうはいかない。
移動する力が弱ったら、そのぶんだけ、
情報の交通を充実させて補ってやらないと、
毎日が「思い出の食いつぶし」に
なってしまうと思うのです。
だから、インターネットはお年寄りにこそ、
必要なものだと思うのです。
誰ともつながっていないのではないかという孤立感や、
社会に必要とされていないのではないかという孤独感は、
たぶん「ほぼ日」を見続けているだけでも、
ずいぶん軽くなると、ぼくは考えています。
取るに足らないと言われそうなページや、
えらいなぁと感心してしまうページや、いろいろあるけど、
それは、現実の社会に普通にあるものと同じなんです。
立派なもの、貴重な情報、役に立つものでなくても、
隣の知り合いの話に耳を傾けるように、
いろんなページを読んでくださったら、
たぶん、自分や、自分の若い頃と似たような人たちが、
それなりにがんばって生きていることが、
きっと見えてきます。
人生の先輩でもある読者の皆さん、
あなた方の、知恵や経験がいかせる場面が、
きっとありますから、いろいろ教えてくださいね。


1999-06-09

昨日はほんとに早寝した。
午前1時過ぎに届く「ログ」の報告も読まずに寝た。
この1年、朝刊読まずに寝たことなんて、
数えるくらいしかなかったもんなぁ。
こういうことは珍しいので、思いやりの人であり
同居人でもあるカグチさんが、新原稿を書いてくれた。
カラダが弱っても、いいことはあるものだ。
うれしい大事件だった。
それに、ガツガツ大作戦の効果も、じわじわ上がってきて、
昨日なんかは10万アクセスに届きそうだったわ。
「おおぜい見てるんだとわかると、つまんない」と、
おっしゃる方がいるのも理解しますが、
テレビの視聴率に換算したら0.1%以下ですからね。
だって、目標は朝日や読売、毎日ですぜ!
「朝・毎・読・ほぼ」って言われるのさ。
あ、いま、笑った?
いいよ、自分も笑ってるんだから。
でも、そのくらいの気持ちがないと、
つい「考え方が閉じていく」んですよ。
どうせ、いつかは世界中の全家庭に
インターネットはつながるんですから、
その遙か彼方の北極星を見ながら歩むほうがいいと、
ぼくは思うんですよ。
それでも、今日やることは、
明日のコンテンツの準備や、
ここ3日くらいの企画の検討ってジミなことですけどね。
今日は早寝はできません。他の仕事がたまっているので。


1999-06-13

よく、野球の試合を観ていると、
好調のピッチャーと不調のピッチャーの対決がある。
ぼくの長年の観戦経験では、
こういう場合は、投手の早めの交代がなければ、
たいていは投げ合い対決のときには
「好調のピッチャー」が負けている。
好事魔多しというけれど、ほんとに、
いい時には事故があるものだ。
かといって、事故があるぞ事故があるぞと意識して
慎重になりすぎると、調子もでなくなるから、
好調のピッチャーのほうが試合の戦略は難しくなる。
不調の投手は「相手も人間だからミスはある」と、
運を味方につけやすくなるし、
どのくらいかの被害を覚悟しているから、
チームの仲間もコスト計算がしやすくなる。
とまで書くと、「調子悪いほうがいいじゃーん」と
思いそうになるのだが、それはそれで違うんだなぁ。
調子はいい方がいいに決まっている。
まことに、矛盾に満ちたことを言っているようですが、
ホントだからしょうがない。
ま、あえて「まとめ」に入るとすれば、
どっちも負けるな、というか、
あきらめるな、いい気になるな、ということでしょうかね。
いまの「ほぼ日」。どっちだと思いますか?
ぼく自身の意識としては、
不調時のピッチャーとして動いているつもりなんです。
打撃戦で、1点差で勝てばいいやという感じ。
応援、ありがとうございます。
とても大きな励みになっています。


1999-06-19

ぼくは、この頃「ほぼ日刊イトイ新聞」の
名刺ばかり持って歩いているので、
コピーライターであることを忘れそうである。
でも、本当に上手なのはコピーを書くことなのです。
ただ、一般に考えられているようなカタチの、
コピーの仕事というのは、もう時代遅れになっている。
名文句だの、名キャッチフレーズだけで、
ものが動くような時代はとっくに終わっている。
でも、コピーを書いたり考えたりすることは、
かなり楽しい頭のエクササイズなので、
このページで、たまにそのおもしろさを
おすそわけしようと思いついた。

◆人の口癖を、見つけよう。
第1回(2回はあるのかなぁ?)のテーマは、これです。
人は誰でも、無意識で「独特」の言葉を多用します。
それを発見すると、その人像が魅力的になります。
例えば、矢沢永吉さんは、有名な「よろしく」です。
ボス的な資質を持った人にしか似合わないひとことです。
井上陽水さんは、「心外」です。
そういうことをしょっちゅう言っているわけじゃないけど、
彼の発言の底に流れているのは、
「簡単に俺を理解しないでくれ」という意味での
「心外だなぁ」というひとことだと思います。
吉本隆明さんは、「〜じゃねぇか」です。
下町っ子的な育ち方や、
当たり前のことを俺は言っているんだという、
毅然とした姿勢がよくわかります。
赤瀬川原平さんは、「ああ、ねぇ・・・」です。
カグチヒナコさんは、「おほほのほ」です。
ぼく、ですか?
ぼくは、「あ、」ですかねぇ?
読者の皆さまも、周囲の人を象徴するひとことを、
探して遊んではいかがでしょう。
あ、無理はしないようにね。
できるまで待つというのが、素人の有利なところですよ。


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(あしたに、つづく)

2001-04-16-MON

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