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「ほぼ日刊イトイ新聞の本」が出るよ!

【以前のほぼ日 その13】
2000年1月下旬の4日間連続の文章です。


前回からだいぶあとの頃に
時間を飛ばしてのセレクトになります。

今回は、2000年1月下旬の「今日のダーリン」から
4日連続で、掲載をしてみようと思います。

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2000-01-28

夜、というより夜中に起きているという生活を、
ぼくは、ずっと続けている。
だいたい、ぼくが寝るのは5時半から7時の間で、
それでも11時くらいまでは寝ているので、
特別に睡眠の足りない人間ではないわけだ。
人に会ったり、人と考えたり、人に冗談を言ったりという、
他の人がいないとできないことを済ませてから、
自分ひとりの時間を持とうと思うと、
どうしても夜中の2時くらいからが佳境になる。
昔からぼくは、
「一人でいるときの顔を想像できない人は、嫌いだ」と、
生意気なことを言ってきた。
大勢でいる時の表情はいいのに、
一人でいるときにどういう顔をしているか見えない人が、
世の中にはいるものだ。
学生さんとか、若い会社員とかにけっこう多い。
いいやつかもしれないけれど、信用できないのだ。
それだったら、一人で悪いことを考えている人間のほうが、
なんだか信用できるという気がする。
夜中に起きていると、否が応でも一人になる。
いまは誰も起きていないのだと思う孤独感には、
なんだか自分が鍛えられているような快感がある。
「そうだ、俺はいま世界中にたった一人なんだ」
そう感じることが、男の表情をつくるのだ・・・
と、勝手に思いこんで生きてきたのですが、
このごろ「早起き」でしかもいい表情の人たちに、
よく会うようになったので、
考えを改めるようになっています。
朝だって、一人になれるもんなぁ。しょぼん。


2000-01-29

今夜はテレビ朝日系列で放送の「ザ・スクープ」観てね!
23:30から、キャスターは鳥越俊太郎さん、
ぼくも出るけど、他の筆者やほぼ日編集部の様子も映るよ。
昨日の京都は寒かったねぇ。盆地ってのは底冷えするね。
いろいろ謝ったり遅れたりくたびれたりしているけれど、
毎日、たのしいねぇ。
そうそう、謝りついでに、言っておかなくちゃ。
実はぼくも「ほぼ日永久紙ぶくろ」を注文したわけよ。
Tシャツは前々から持っていたんで申し込まなかったよ。
そうしたら、注文確認メールが届いてさ、
住所や氏名やメールアドレスの確認の最後に、
注文セット数,3,
おまけ,無
って、書いてあるのを見たら、ちょっとガックリきたわけ。
事務的な確認なんだし、
あとでの手続きの都合で書いてあるんんだけど、
「おまけ 無」って、わざわざ言われると、ね。
確認メールの原稿を、ちゃんと
チェックしたつもりだったけど、これは感じ悪いなぁ。
せっかく注文してくれてランランランって時に、
「おまけ 無」って、突き放されたような気がするよなぁ。
じゃ、どうすればよかったのか?
・・・ううっ、代案が、アイディアがでない!
馬鹿馬鹿馬鹿!コピーライターのくせに。
考えに考えて、答えはでなかったけど、ひとつ発見したよ。
メールってのは、全部、文字の大きさが同じだから、
本文と事務的な記録との区別がつけにくいんだ。
と書いているうちに思いついた。
事務的な確認にしても、有りの場合は
『おまけ あります』と記して、なしの場合は、
それについて記さなければよかったんだ。
月曜日にそのことについて会議しようっと。


2000-01-30

昨夜はアクセス集中でご迷惑をおかけしました。
いやいやいや・・・。
結局、入り口であんまり混んでいるので、
あきらめちゃった人が多くて、中に入らずに
みんな帰っちゃったみたいです。
総アクセス数は、減っていました。びっくり。
そんなにおもしろいもんじゃないですよ、「ほぼ日」。
謙虚なふりしているわけじゃなくて、
その、いわゆる「おもしろい」ってのと、ちがうんで。
昨日のテレビ『ザ・スクープ』で知って来てくれた人が、
なーんだとか言いやしないかと、思いましてね。
前から読んでくれている人ならわかっているでしょうが、
「ほぼ日」は、ご馳走じゃなくて、お総菜ですから。
おいしい料理屋さんの従業員が食べているような、
材料費かからず手間いらずでもおいしいっていう
『まかないめし』が、ぼくらの理想の食事ですから。
どうぞ、がっかりなさらないようにね。
それにしてもさー、テレビって化け物ですよねぇ。
アクセスどっと増えて、つながらなかったもんなぁ。
ぼくは昨日はテレビ付けたまま仕事してたんだけど、
昼間は再放送の『30人31脚』観てまた泣いてさ、
『パンドラの鐘』はビデオに録って、
『筋肉番付』で小学生のパーフェクトを目撃して、
じぶんの出てる『世界ふしぎ発見』を偶然観て、
おなじみの『ブロードキャスター』観て、
その後『ザ・スクープ』っていう順だった。
これ、視聴率を単純にのべで足し算したら、
7000万人くらいになるわけですよね、きっと。
その間、コーヒー飲んだり、アンコウ鍋食ったり、
締め切り過ぎた仕事したりメール出したりしてたんだけど、
あらためて考えちまいましたよ。
とにかく数を捕まえる力に関して、テレビってすごい!
しかし、正面からつきあうには、
テレビってやっぱり難しいメディアでさ、
ネットとテレビが、いっしょに考えて行くってのが、
いちばんいい方法なんだろうなぁ。


2000-01-31

ぼくは、昔からいろんな人のことを、
小学校でどんなふうにいたか考えてみるくせがある。
みんな、いろんな扮装をしているけれど、
子供の頃の「存在のあり方」から、
あんまり変わってないんじゃないかと思うのだ。
気の弱いやつ、泣き虫、乱暴者、陰険なやつ・・・。
カメラマンの三浦憲治さんに、
思い出話を聞いたことがあった。
三浦さんの父上は、その学校の校長先生だったらしいが、
それはどうでもよくて、その学校に、
よその学校の暴れん坊がよく攻めてきたんだという。
その攻めてきたワルの先頭に、
後の矢沢永吉がいたんだってさ。
エーちゃんには、その感じがいまでもあるじゃない?
そういう感じで言うと、井上陽水という人は、
ぼくにとって、教室の対角線のところにいそうな子供だ。
どちらも教室の隅と隅に別の生活圏があるんだけれど、
そしてそれは点でしか触れあわないんだけれど、
なんだか気になるし、もっと知りたくなるという感じ。
彼にあの「いい声」で「なぜ?」と言われるだけで、
なんでもないと思っていたことが気になって仕方なくなる。
まず、なにが「なぜ」なのかさえわからなくて、
あんなやつがいなければ安定したガキでいられたのにと、
ちょっと腹立たしい気持ちになるのだけれど、
ずっと時間が経つと、その質問の意味の
絶望的な難しさに、答えたくてたまらなくなる。
法律や規則や常識をせせら笑うような、
もっとほんとのことがあるんじゃないの?と、
平凡な元気だけの自分が追いつめられてしまうのだ。
そういう困った人との困った対談が、はじまりました。
これ、観客席で観てるとおもしろいんだよねぇ。


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(明日に、つづきます)

2001-04-20-FRI

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