第40回 ファーブル昆虫館
「虫の詩人の館」に行く。

第37回に登場した、
ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」へ、
行ってきました!
そこで今回は、詳しくご紹介したいと思います。


「ファーブルってどんな人?」が、
 やさしく、よくわかる場所。


都営地下鉄南北線に乗り「本駒込駅」下車。
わたしにとっては、普段はなかなか行く機会のない、
文京区千駄木です。
初めて訪れる方は、
・駒込病院を目印に進んで行く。
・駒込病院を過ぎたら千駄木小学校を目指す。
この2つさえ覚えていれば、地図を忘れても、
人に聞きながら辿り着くことができます。
多少迷いながらですが、駅から15分程で到着。



住宅街で明らかに目立つ建物、
それが、ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」です。
目立つといっても、
素敵なたたずまいに目がいく、という感じです。
館の方にこの建築物についてたずねたところ、
南フランス出身の建築家アンリ・ゲイダンさんが、
繭をイメージして建てられたものだそうです。
そこで気になるのは、名前が、
「アンリ・ゲイダン」で、南フランス出身。
「アンリ・ファーブル」も、南フランス出身。
‥‥もしや親戚か何か?
と、嬉々として聞いてみたのですが、
残念、全く関係ないそうです。

この建物、地下1階から4階までありますが、
展示スペースは、地下1階と1階です。
全体が白を基調とした明るい空間になっています。
1階の展示室から見ていきますね。



中央に見える展示ケースには、
ファーブルの肉筆原稿も。



ファーブルの生きた時代は、
タイプライターが出る前なので、すべて手書き。
鉄の細いペン(つけペン)で、細かい字を
書いているのが見られます。



ファーブルが愛用していた帽子と
仕事机の複製品。



昆虫記に登場する虫たちの標本や、
フランスと日本の昆虫を比べた標本も。
例えば、クジャクチョウだと、
フランス産は「Inachis io(イナキス イオ)」、
日本産は、
「Inachis io geish(イナキス イオ ゲイシャ)」、
というような名前になっています。
やっぱり虫の世界でも、
日本は芸者の国なんですねー。



ファーブルは、昆虫記で有名ですが、
昆虫だけじゃなかったんだ! と驚くコーナー。
「キノコの図集」の細密画は見事です!
左隅にあるのは、iPod。
なんと、作詞作曲もしていたようで、
その音楽を聞くことができます。



このパネルは、ファーブルと関連のある
18〜20世紀にかけての博物学者や文人を、
紹介しています。


1階だけでもじっくり見ると、
1時間はあっというまにたってしまいそうです。
取材に行った日は平日(金曜日)というのに、
たくさんの人(ほとんど女性!)が訪れていました。
そこで、あまりおじゃまにならないように、
少し早足で回り、
いよいよこの昆虫館一番の目玉、
地下1階のファーブルの生家へ。

ファーブルが生まれた南フランスの、
ルーエルグ山地の古い村、サン=レオン村の
ファーブル生家内部を再現したものです。



1823年12月21日、サン=レオン村に
ファーブルは生まれます。



ファーブルの家から見える、
サン=レオン村の景色。
ファーブルの生家は谷の斜面にあり、
眺めが良かったんでしょうね。



ファーブルは、窓際の、
この段々に腰かけて、
村の景色を眺めていたんだとか。



ファーブルの家は貧しかったので、
この1部屋だけで家族と暮らしていました。
実際には、こんなに家財道具はなかったようですが、
その時代の雰囲気を再現できるように、
すべて現地の骨董屋で集めたそうです。



「当時、切り分けて食べていた
 大きなパンを再現しました。」
と、書いてあります。
矢印をさされて
「パン」と説明されている姿が、
妙にかわいいなー。
関係なくてすみません、次行きましょう!



ファーブルの生涯を年代を追って紹介する映像。
このテレビは、全部で3台あるので、
1台目に人がいて見られない場合は、
奥へどうぞどうぞ。



設置してある3台のパソコンでも、
テレビと同じ内容のファーブルの生涯を
映像で見ることができます。
座ってじっくり見たい方は、こちらがオススメ!
このパソコンでは、ほかに、
「ミクロコスモス」や、
海野和男さんの昆虫教室も見られます。



地下には、生きた昆虫がいます。
季節に合わせて虫を変えていく予定だそうですが、
今は、外国の昆虫も入っています。
ダールマンツヤクワガタルデキンツヤクワガタ
アサギマダラアカタテハ
コーカサスオオカブト、など見られますよ。



これは、ヘラクレスオオカブト



水槽もあります。
水槽には、ミズカマキリタイコウチ
コオニヤンマ(ヤゴ)などいます。



ミズカマキリがいます。
どこにいるか、わかります??

地下も女性グループでいっぱいです。
さて、最後のお楽しみ、記念グッズのコーナーを見に、
1階に戻りますね。


1階入口、すぐ右手に本や雑貨が販売しています。
本やクリアケース、キーホルダーなど、
もちろん昆虫館ならではの虫づくし。



普段はなかなか目にしないグッズの並びは、
見ていて楽しいです。



海野和男さんの絵はがきセット。
虫と言えば海野さん、海野さんと言えば虫。
いつでもセットです。



この本は、この昆虫館の館長でもある、
奥本大三郎さんが翻訳された、
『完訳 ファーブル昆虫記』
ここで購入すると、奥本さんのサイン付き。
サイン入りは、限定数しかないそうです。

わたしは本を1冊購入し、大満足! でした。

ということで終了しました、
ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」のご案内、
いかがでしたでしょうか?

個人的な感想としては、
実はよく知らなかったファーブルのことを
凝縮された良質な情報で知ることができました。
何よりも、昆虫初心者にやさしいです。
帰り際に、スタッフの年配の男性に、
「熱心ですね、虫はお好きですか?
 またいらっしゃってくださいね。」
と最高の笑顔で声をかけられ、
さらに心が満たされて、
清々しい気持ちで帰りました。
新しい癒しの空間発見!
という気分です、本当です。

そして、この昆虫館、
オープンして間もないので、
これからまだまだ充実させていくとのこと。
館の入口付近のスペースには、
溝を作りヤゴを飼ったりすることも
検討しているんだとか。
昆虫館からトンボが飛び立つ風景も、
素敵ですよね〜。
3階の集会室では、
30人程度の教室が開けるようになっているので、
これからもっと活用していく予定だそうです。

まったく余談なのですが、
事務室の方にお話しをうかがっているとき、
10個買っても105円! という、
「10円饅頭」をいただきました。
その安さにも驚きですが、
これがすごくおいしかったんです!
昆虫館から歩いて10分ほどのところにある
「谷中福丸饅頭」というお店のお饅頭だそうですよ。
昆虫館の帰りに探索しても楽しそうです。

行かれた方などいらっしゃいましたら、
感想をお待ちしております〜。
では、また来週!

ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」
所在地:東京都文京区千駄木5-46-6
開館日:金・土・日曜日
開館時間:午後1時〜5時
入館料:無料

※ボランティアスタッフの募集
 「虫の詩人の館」はボランティア・スタッフの力で、
 展示から開館までを行っております。
 金・土・日曜日に、
 開館をお手伝い下さるスタッフを募集しています。
 くわしくはこちらをご覧ください。




楽しみにしていた、
5月・6月の虫カレンダーが、
イラストレーターのはらだゆきこさんから届きました!

1024×768    800×600
※お好みのサイズをクリックしてください。
5月〜6月ということで
カレンダーも梅雨仕様です。
虫たちにとって、
梅雨というのはどんな季節なのでしょう。
湿っていて過ごしやすいのか、
自分くらいの大きさの水滴が
どかんどかんと降ってきて怖いのか‥‥。
今度、葉っぱの裏で雨宿りしてる虫に聞いてみたいです。
(はらだゆきこ)


2か月ごとにカレンダーが変わるのって、
季節の移り変わりに合っている気がしています。
気温や虫や植物の変化を感じる感覚が、
ちょうど、2か月ごとにやってきて、
そうそう、そろそろそんな気分!
と、思うんですよね。
みなさまはどうですか?
 

2006-05-07-SUN



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