秩父丸は、昭和５年（1930）に
北米航路のサンフランシスコ線に
就航した客船です。
日本郵船の他の客船と同様、
由緒ある神社から名がつけられ、
この船は秩父神社に由来しています。
氷川丸は氷川神社、
浅間丸は浅間神社、
照国丸は照国神社ですね。
17498総トンで、
横浜船渠が製造を受けもちました。
船内には、当時流行の
アール・デコ様式が採用され、
絵はがきから、洗練された船内の
様子がうかがえます。
このような豪華客船の造船は、
昭和２年に海軍軍縮条約っていう
条約があって、
アメリカとイギリスと
日本の軍艦の比率を
５：５：３にすることに
なったんです。
それの隠れ蓑として、
イギリスもアメリカも
同じように豪華客船を
作るようになりました。
いつでも軍艦に
変えられるようにって形で。

（江戸博学芸員・小山）