糸井 |
あのう・・・。
福武さん、島をお持ちなんですよね?
それだけでおもしろいなあと思うんですけど、
島では何をなさっているんですか? |
福武 |
飛行機に乗ったり、ヨットに乗ったり。
・・・そこで、極楽をつくろうと思った時からね。 |
糸井 |
おおー。かっこいい。
(笑)できそうですか? |
福武 |
だいぶできて、今、7割ぐらいかな。 |
糸井 |
へえー。
ほんとにおやりになっているんですね。
ふつう、島は買ったけれども、
忙しくて行けないよとかって、
よくあるじゃないですか。
・・・仕事がお忙しいでしょうけれども、
「行く行かない」は、性格の問題なんですか。 |
福武 |
性格というか、
直島に行く間に仕事をやっているわけじゃないです。
(※注:直島=福武社長の持っている島の名前。
瀬戸内海に浮かぶ風光明媚な島)
週末はできるだけ大事にしますよね。 |
糸井 |
へー。 |
福武 |
そのくらい休みとっても、
会社はどうにもならんでしょう。 |
糸井 |
いいなあ。
(ベネッセスタッフに向けて)
行ったこと、あるの? |
ベネッセ |
ええ、あります。1回だけ。 |
福武 |
最近は、ない? |
ベネッセ |
最近は全然ないです。 |
福武 |
最近は、おもしろいのを
やっているんですよ。
古い民家を現代美術の美術館にしたり。
それはけっこう、おもしろい。
あ、そうだ。
アレを持ってくればよかったなぁ。
「トラベラーズ」の
世界の七大名所になったんだから。
去年だったよなあ?
「トラベラーズ」というアメリカで出している雑誌。
ネクスト・セブンワンダーズ・インどこどこ、
というものに直島が入りました。
「パリにあります、ロンドンにあります」
という中で。 |
糸井 |
言わば、人工的に
「七大何とか」の位置を獲得したわけですよね。
すごいなあ。
・・・いや、あの、ぼくがここに来たのは
たぶん、こういう話をすることを
期待されているわけじゃないんでしょうけど(笑)、
とてもおもしろいので、
思わず聞きたくなっちゃうんです。
島って、どのぐらいの広さのものなんですか? |
福武 |
島の広さは、
一周、15kmぐらいだったかな?
3,700名ぐらいの人口で。 |
糸井 |
ふーん。
それはもともと住んでた人がいて、
福武さんが一部を買ってるわけですよね。 |
福武 |
ええ。 |
糸井 |
そういうの、すごく興味があるんですよ。
福武さんの島のウワサはよく聞くんですけれども。
かっこいいじゃないですか。
懐が深い、と言いますか。 |
福武 |
(笑)ぼく、そっちの話題なら
いくらでもできるんだけど。 |
糸井 |
(笑) |
福武 |
この直島という島で
さまざまなプロジェクトをおこなったあとに、
「ベネッセ」というコンセプトを導入したんです。
直島でプロジェクトをスタートさせたのが87年で、
ベネッセという言葉を会社に導入したのが90年。
(※注:ベネッセ=「よく生きる」という意味)
実際に社名を変えたのは、95年ですが。 |
糸井 |
へえ。 |
福武 |
直島にいろいろ関与し出してから、
「会社の名前を変えてやろう」
という確信ができたみたいな感じでしょうかね。 |
糸井 |
その前までは、
「ベネッセ」というコンセプトは、
なかったんですか? |
福武 |
なかった。 |
糸井 |
島のプロジェクトがなければ、
全然違った名前になっていましたか? |
福武 |
そうそう。
たぶん、ぜんぜん違った名前になったでしょうね。 |
糸井 |
ベネッセってネーミング、
出はじめた当時は、たいへん失礼ですが
「突然、何を言いだしたんだ?」
みたいなものがありましたけれども・・・。
でも、名前の「持ち」がいいですね。 |
福武 |
やっぱりあれも、
20年ぐらいかけてますから。 |
糸井 |
なるほど。 |