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智慧の実を食べよう。
300歳で300分。

「ほぼ日」創刊5周年記念超時間講演会。

ダ・ヴィンチ編集部の
丹治史彦さんに訊く。


東京国際フォーラムに、5人の長老が集う。
その特殊性に強く惹かれた多くの人たちが
それこそ「個人の感覚」でもって
このイベントに協力してくださっています。

メディアファクトリー、
ダ・ヴィンチ編集部の丹治史彦さんもそのひとり。

イベントを開催するにあたって、
私たちはその概要をまとめたプレスリリースを
いろんなところに送ったのですけれど、
丹治さんから連絡があったのはその直後でした。
「すごく興味があります」
丹治さんの協力もあって話はすぐに進み、
ダ・ヴィンチ誌上でも
2回の特集が組まれることになりました。
丹治さんを動かした「個人の感覚」について訊きます。

「少しまえのことになりますが、
 糸井さんにお会いしたときに
 このイベントの構想をお聞きしたことがあって、
 すごく楽しみにしていたんです。

 ぼく自身がおじいさんっ子だったこともあるんですが、
『おじいさんやおばあさんといった
 老人の方といっしょに住んでいた子どものほうが
 精神が健やかである』
 というお話にすごく共感したんですね。
 講演される方々にも元々興味がありましたから
 もう、絶対行こう! と思ってたんです。
 
 ふつうに考えても、
 この5人が一同にそろうということは
 二度とありえない貴重な機会だと思いますしね。
 そんなときにプレスリリースが届いたので
 すぐに反応してしまったんです。

 これからはシニアマーケットの時代だってことが
 新聞や雑誌をみても注目されてますよね。
 でも、ぼくが個人的に興味をもったのは
 マーケティングとしてのシニア層ではなくて
 戦争前後を生き抜いてきた方、
 という意味でなんです。
 そういう方々がどういうことを話すのか
 すごく興味があるんですよ。

 当日講演される方々は、
 戦争に向かっていったっていうよりは
 飲み込まれた、巻き込まれた世代を
 代表されるような方たちだと思います。
 
 たとえば小野田さんは
 仲間の多くが死んでいくことを
 間近で見てきたわけですよね。
 おそらく、「生きる」ということに対して
 僕らが考えたこともないような深さで
 考えられた人だと思うんです。

 谷川さんや吉本さんにしても
 戦争が終わって、
 それまで「よし」として教わっていたことが
 一日でひっくり返ってしまって、
 価値観が180度変わるという体験をして、
 そのうえで自分の考えや言葉を作ってきた。
 そういう人たちだと思うんです。
 
 不確かな時代だったと思います。
 社会に対して不信感が強くなった時期もあったでしょう。
 そんな時代をしたたかに生きてきた彼らが、
 したたかに生き抜いてきた体験があるからこそ
 生みだした「思想」や「言葉」があると思う。
 それを、ぼくは感じたい。
 一観客として、そう思ってます。
 彼らの根っこにある
 ものすごく強い力に興味があります。

 おそらく、
 この5人が特別にすごいわけでもなく、
 本当はこの世代を生き抜いてきた方には
 それぞれの「智慧の実」が
 あるんじゃないかとも思います。
 そういったものを
 このイベントをきっかけにして
 再確認できるようになればいいですね。

 ダ・ヴィンチは本を紹介する雑誌なので
『智慧の実を食べよう。300歳で300分』のイベントを
 講演される方々の著作を通して
 お伝えしていこうと思ってます。
 このイベントをきっかけにして
 講演される方々に興味をもっていただいたときの
 入り口になればいいとも思いますし、
 できれば、この著作を集めた
「智慧の実フェア」のような展開が
 書店でもできればいいなぁとも思ってます。」


ダ・ヴィンチでの特集記事も、
書店での「智慧の実フェア」も、
近づくイベントに合わせて着々と進行しています。
なにぶん、東京で一度しか開催できないイベントですから
(機会が公平ではないことを申し訳なく思っております)
当日会場に来られないという方にも
ふらりと立ち寄った本屋で
「智慧の実」に出会えるようになればいいなと思います。

それでは、また。

2003-08-18-MON

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