── |
このDVDの企画が動き始めた時
後々、テレビ番組でも使えるように
ドキュメントをVTRで回すような
メディアミックス的な
企画の要素もありましたよね。
|
土屋 |
メディアミックスっていう意味でいくと、
そのもとになってるテレビを
宣伝媒体として考えると、
ものすごい網の目の粗い、
でかい網だと思うんです。
そのでかい網を「ドンっ」てかけると、
ほとんどの魚は網の目が粗いから
逃げていくんだけど
「あ、こういうのを待ってたよ」
っていう人が、
ひょっとしたらすごい遠くの
それこそ、4キロ先にいる魚が
かかってくれるかもしれないじゃないですか。
その人たちに、
「かかって良かったでしょ? この網」
っていえる宣伝媒体としての
存在価値はあるなと思うんですよ。
視聴率1%が60万人という
テレビ地上波っていうことですけど
以前、糸井さんとお話をしたときに
例えば、深夜番組で3%でもいいんですよって
言われたんです。
「180万人に刺さるものをやりさえすれば、
それはひとつの商売として
リクープするっていうこと。
つまり、儲かんないけど
刺さる深さみたいなものっていうのは、
あるでしょう。
それがコンテンツだと僕は思うんです。」
っていうような話をされたんです。
今回の智慧の実というイベントこそ
糸井さんが言っていた
まさにコンテンツみたいなものだろうなって
いう気がします。
だから、伝えられるデカさという意味での
地上波テレビのあり方っていうか存在意義は、
こういうコンテンツさえあれば
いけるなっていうことも、
思ったりしますよね。
|
── |
頭からテレビ番組を作ろうとするんじゃなくて、
もっと刺さるコンテンツを作って
それをテレビ流すことは
あとから考えるということ‥‥。
|
土屋 |
うん、だからたとえば
糸井重里という人は昔から知ってるけど、
ひょっとしたら「ほぼ日」のことは
知らない人がいるかもしれない。
そういう人に対してテレビで
「糸井重里さんは『ほぼ日』って
サイトを5年間こうやってやってんですよ、」
ということが伝えることができて
それを見た人が
「え?そうなの?」って『ほぼ日』を観て
「面白いじゃん!」っていう人が
いるかもしれない。
だから、テレビで何か作ろうとかじゃなくて、
テレビで何かが出会って、
何かが一緒になってできるということが
これからのテレビであるんだろうなと思います。
テレビが何かをしようって時代は、
もう、基本的には、考えちゃいかんと。
テレビが何かしようって思うんじゃなくて、
テレビが誰かと会おうっていうふうに
思ったほうがいいって今は思うんですね。
|
── |
今までの土屋さんのイメージって
ずっと、「仕掛け人」って
イメージだっただけに
その話は意外です。
年末のイベントの企画で
綾戸智絵さんのライブをやるって
お話をうかがったのですが
それもその流れから来ているんですか?
|
土屋 |
でも、綾戸智絵さんのライブを
そのままテレビでやっても、絶対ダメなんですよ。
テレビって要するに、
「綾戸智絵のコンサートに
行ってみたらいいんじゃない?」
っていうことしかできない。
最終的にはライブに行って感じることが、
もうベストなんですよ。
だから、「行ったらいいよ!」ってことを、
どう伝えるか。
そこまでしか、テレビはできないと思いますね。
そういうことのために
テレビはあるなって気がしますね。
俺はどこへ行くんだろう? ってのは、
よくわかんないですけどね。とりあえず(笑)。
ホントにそう思うもの、
テレビっていうものを20何年間かやってきて、
今テレビってこうだと思うんですよ、
で、僕はこんなことできます、って、
これはこうしたいんです、っていうことを、
ちゃんと伝えられるかとか。
そのことに対して、やっぱり、
誠実にものができるか、
っていうことだと思いますね。
それをやっぱり、反応してくれる、
お金出す人たちって、ちゃんといると思うし、
なんかこう、オファーを受ける側の人が
向っ側の会社で説得するための、
武器もちゃんと持たしてあげられるだけの、
読み込みもある程度できるし。
そういうテレビマンでいたいと思ってます。
|
── |
土屋さんが
あのイベントがきっかけとなって
今、すごく俯瞰で物を観られるように
なられてるんだなっていうのを感じますね。
|
土屋 |
なんかわかんないです。
10年前は10年前で
電波少年のときっていうのは、
そこはそこで、ガキはガキなりに、
今でもガキですけど、
あがいてはいたけども、
今はちょっと違うあがき方が
見えた感じがしますよね、
そこそこ、会社で部長とか言われて、
部長としての力とか発言力みたいなものを
与えられたことは、
悪いことじゃないなっていうか、
なんかこう、会社の中で、
「おまえが言うんだったらいっか」
って言ってくれる人や
「やってみるか」っていう人が
何人かいることは、
悪くないなと思えたりとか。
そういうところがありますね。
だからこういうものがお客さんに
ちゃんと届いて良かったって思います。
熱い拍手をくれる人が何人いてね、
買って、売ってくれてありがとう、
っていう人が
たくさんいるようになってほしいなと思うし、
そういう風な時代に
なってるんじゃないかとも思います。
テレビに対する不信とか、
テレビに対する
「信用できないぞ」みたいなことが、
「日本テレビもちょっとは
悪いことばっかじゃないじゃん」
っていうようなことが
できたらいいなと思うし。
日テレと誰かとか
誰かと日テレっていう意味での
誰かっていうのに対して、
日本テレビの力を、とにかく使いたい。
そういう形でテレビを再生したい
っていうことを、すごく思いますね。
そういう意味での出会いを、
いろんなことしてたいなと思うし。
年に何本かこういうことができればいいなぁ
って思っています。 |