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イベント直後は
「まだ整理ができない」と
書いていましたが
今は「智慧の実のイベント」を
どのように位置づけていますか。
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糸井 |
大きい意味で、
ぼくの仕事は「親切」だと思うんです。
例えば、知り合いに
モノマネがおもしろいコージー冨田が
いたとするじゃないですか。
絶えず「あのモノマネしてよ」って
言われているでしょうし、
モノマネをしてもらって、
一緒に遊んでいると楽しい人ですよね。
もしくは、イチロー。
彼に弟がいたとして、
弟の友達に野球が大好きな少年がいる。
冬休みに実家に帰省をして、
グローブを持っている弟の友達がいたら、
やっぱりキャッチボールをするじゃないですか。
そんなことを
ぼくは結構イチローでもコージー冨田でもない
ジャンルですっごくしているんですよ。
昔ながらの考えだと
自分を伸ばすためだけに勉強をしたり、
自分をみがいたりして、
自分ひとりの中で終わらせていたものだったんです。
それが、だんだん自分ひとりで
イチローとキャッチボールしたり、
コージー冨田と遊んだりするのが
いたたまれなくなってきて、
人にも「親切」をするようになったんです。
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すごい「親切」ですよね。
絵を描くと言えば横尾忠則さんを連れてきたり。
普通の人が触れることができないところにいる人を
連れてきて「握手してごらん」と
言ってしまっているような感じというか。
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糸井 |
「歌だったら、
ぼくの知っている人で
美空ひばりって言う人がいるから、
その人に聞けばいいじゃない」みたいに、
人が思いつきもしないことを言い出したりしているんです。
もともとそういうことをしたかったんでしょうね。
ふだんもそうしているつもりなんですよ。
今回はそういうことを一気にやってしまった。
思えば「足の不自由な人」(吉本隆明さん)とか、
「ブラジルに一年の半分は行っている人」
(小野田寛郎さん)とか、
「週に三回、病院に通っている人」(藤田元司さん)とか。
それぞれがふつうは呼びにくそうな人ばっかりなんです。
声をかけたら悪いかなと思う人に声をかけて、
「申し訳ないけど、本人さえよければぜひ来てほしい」
という強い意志があったので会えたんですよね。
しかもひとつのところで、休みの日に、一同に。
ほんとうにすごいモノだったら
みんなが手に入れるように加工し直せばいいじゃない。
9月13日に東京国際フォーラムという場所を
設定したことだったり、
DVDや、本という他のメディアとして
もう一度、のせなおすということだったり。
イベント直後は整理ができないって言っていたけれど、
それはお客さんがあの場に来るんだろうか
来ないんだろうかって気にしていたから
整理できなかったんだと思う。
来ようが来るまいが
ものすごくぼくは「親切なこと」を
みんなにやったんだって思えば、
整理も何もなかったんだね。
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会場に来たお客さんはすごく若かったですよね。
この人の話が聴けるという単独のファンじゃない人が
集まったみたいじゃないですか。
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糸井 |
大きく言えば「ほぼ日」を
毎日やっている力だったんじゃないかな。
名付けようのないものに名付けるというのが
ぼくの一番やりたい仕事で、
やってきてうまくいった仕事ってそういうものです。
今回も年長者の話をちゃんと聴くということに
「智慧の実を食べよう。」という名前をつけたんですよね。
そのコンセプトに人が集まったんだと思う。 |
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このイベントは、
友達5人で誘い合ってくるとかできないものでした(笑)。
多くても二人なんですよ。
よくわからないけど
信頼してついてきてくれる人がいたら
二人できているって感じで、
そうではない人はひとりでした。
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糸井 |
このイベント、
ほんと困っちゃうのは誰かを誘えないんだよね(笑)。
これが客をいれられたってことを
今思い返してみれば、すごいと思う。
「こういうすごいものだから行こうよ」って
友達に言いにくいもんな。
まさにONLY IS NOT LONELYイベントですよ。
それぞれがひとりで来てるんだ(笑)。
二人できている人もひとりでいるんだよね。
「ほぼ日」らしいよなぁーーー。
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連れてくる人もかなり人を選んだと思うんですよ。
気軽に「チケットあるから行こう!」って
誘いにくいですから。
「待てよ。この時間! 300分!」って。
おじいさんたちだし。
何があっても大丈夫な人しかつれてきてない(笑)。
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糸井 |
途中で帰ってもいいさみたいなことを言ってもね。
吉本さんを見ちゃったら、
もう帰ってもいいって考えは飛ぶよね。
ひきずりこまれる。
講演の内容については
もう忘れちゃってもいいんですよ。
あそこに中学生がいて
「何やってたの?」「わかんない」でもいい!
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わかっている中で、
講演のアンケートで8歳の方からいただいたのが
最年少でした。
「つまんなかった」って書いてくれましたが(笑)。
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糸井 |
ウケるね(笑)。
それでもいいんだよ。
8歳にしてあの場にいたというだけでもすごい運だよ。
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舞台袖のインターネット中継のアクセスが
すごく高かったんですよね。
ストリーミングで中継するという企画に対して
糸井さんが「絶対面白いよ」って言っていたのを
覚えているのですが、
どうしてそう思ったんですか。
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糸井 |
中継をするメンバーですね。
【註】
舞台袖でネット中継を担当していたのは
アナウンサーの今泉清保さんと
感心力の男、田中宏和さん。
途中でゲストとして日本テレビのT部長や
darlingを交えての中継でした。
田中君がいて、今泉君がいて、
土屋さんが言ったり来たりしてくれて。
そこでもう姿が見えたんですよ。
田中さんも今泉さんも
教養だとか知性みたいな
価値を隣りの椅子に座らせることが
できる人たちなんですよ。
ぼくがやりたいのは
向こうにキャバクラのおねえちゃんが座ってて、
その手前に小野田さんが座っている。
そういうことなんです。
それをあのひとたちはできるだろうなって。
尊敬を失わせずにそれができるって
おもしろいに決まってるんです。
そのまんま受け止めるよりも割って飲む。
ハイボールとか水割りみたいな飲み方。
おいしい水割りになったんじゃないですか。
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<続きます。> |