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智慧の実を食べよう。
300歳で300分。

「ほぼ日」創刊5周年記念超時間講演会。

智慧の実を食べた人々3 今泉清保
 〜舞台袖からみた、このイベントは?〜

現在発売中の
「ほぼ日コンプリートBOX」の特典のひとつに
「舞台袖インターネット中継音声CD」があります。
講演当日、ステージ横の舞台袖に
名前は「舞台袖サテライトスタジオ」と立派な感じですが
実際は長机と椅子をおいただけという
見た目には非常に簡素な中継ブースを設けました。



ここでは「はなまるアナウンサー」の
今泉清保さんを実況に、
「感心力がビジネスを変える!」を連載中の
田中宏和さんを解説として迎え
インターネット中継で
このイベントをお楽しみいただいている方に
よりライブ感をお伝えするために
各講演者の講演だけでなく、
開演前や各講演の合間のようすをお伝えするために
一番、舞台に近い場所である舞台袖より
インターネット中継を行いました。
この中継には司会として
舞台袖に待機していたdarlingや
当日、最前席でこのイベントを観ていた
日本テレビのT部長こと土屋敏男さんが
休憩時間にわざわざ舞台袖にやってきて
お互いに感想を言いあうというものになっていき、
この舞台袖中継で語られている内容も
講演が進むにつれて
熱を帯びたものとなっていきました。

このイベントをDVD化するにあたって
参考資料としてインターネット中継を
録画したものを改めて見返してみたのですが
これが「面白い!」のです。
400分を超える講演時間となった
このイベントもこの中継を通してみると
なんだかあっという間に感じてしまうほどなのです。
このリアルなサイドストーリーは
是非とも「ほぼ日」読者だけには感じてもらいたい!
という思いをこめて
このCDを企画しました。


正式名称は「舞台裏CD」と決定!

今日はこの舞台袖中継で実況を担当された
最近、「ほぼ日」では
「ホーメイアナ」としてお馴染み、
今泉清保アナウンサーにお話を伺いました。


── 今泉さんがこの智慧の実イベントの存在を
知ったのは「ほぼ日」でしたよね。
 
今泉 そうです。
実は「ほぼ日」5周年記念のメニューが発表された時、
いろんなメニューがありましたけど
個人的に一番関心があったのが
あの智慧の実のイベントだったんです。
なぜかというと、
例えば今やっている
「はなまるマーケット」でも
お年寄りにインタビューをすることがありますし、
福岡放送のアナウンサーとして
「ズームイン朝」をやっていた頃も、
田舎のおじいちゃん、おばあちゃんの話を聞く機会が
とても多かったんです。
そういう経験から、
長く人生を生きている人の話って
おもしろいなぁ、って思ってたんですよ。
たとえ話の全てが理解できないにしても
それはそれでおもしろいですし、
日々自分がせせっこましく生きていて
悩んだりしていることも、
自分の2倍以上生きている人と比べると
「悩んでてもしょうがないかぁ」
っていう気になるような、
そんな空気を皆さん持っているんですよね。

今、ぼくは35歳なんですけど、
自分より20歳年上、54歳の糸井さんが
お年寄り、というか長老の話を聞くことについて
同じように思っているんだったら、
それはやっぱり聞いてみたいなぁと思ってましたし。
あと、一体どれだけの人に
同じような興味をもってもらえるのかな?
っていうことにも関心がありました。
でも、それを東京国際フォーラムという
大きな会場でやると聞いて
ビックリしましたけどねー。
 
── 当初は3月に企画が立ちあがって
6月にやろうとしてたんですけど
会場のスケジュールの都合で秋に延期したんです。
 
今泉 そうですよね。まず秋に延びたっていうのを聞いて、
その後「東京国際フォーラムを押さえました」
って聞いたのが夏だったような気がしますけど
その時は「えっ?」って思いましたよ。
「そんなに大きなところで?」って。
その時はまさか、このイベントに
こんな形で関わるとは思ってもいなかったし。
 
── 最初は
「舞台袖で場内アナウンスをしてくれませんか?」
というお話でしたからね。
 
今泉 突然、ほぼ日スタッフから電話がかかってきて
「今泉さん、
 9月13日に東京国際フォーラムで
 イベントやるんですけど観にきます?
 すっごくいい席用意したんですけど」
って言われて。
もともと行く気でしたからね、
そりゃ悪いねぇ、なんて返事してたら
「あのー、舞台袖で影アナ(場内アナウンス)
 やりません?」って(笑)。
はぁ? と思ったけど
よく考えたら
確かにすっごくいい席だなー、と(笑)。
 
── このイベントの趣旨を理解してもらって
さらに、チケット一枚で場内アナウンスを
引き受けてくれる人を考えたら、
今泉さんしか思いつかなかったという。
 
今泉 あはは。まぁ基本が一読者ですからねぇ(笑)。
 
── 急なお願いにも関わらず
ご協力いただいてありがとうございました。
当日、実況するにあたって
準備とかされたんですか?
 
今泉 台本があるわけじゃないし、
これは始まってみないと解らないなぁと思いながらも、
いつもの仕事と同じように
進行表を作ってみたりとか。
講演と講演の間の時間が決まってましたから、
その時間はコントロールしなくちゃな、とは
思ってました。
あと、長老の皆さんが登場した
「ほぼ日」の過去のコンテンツを
たまたま休みだったんで
1人で四万温泉の旅館に泊まって
ざーっと読んだりしました。
カンヅメになって勉強する気分で(笑)。
でもまぁ、読んだだけで
別に勉強はしませんでしたね。
僕が説明することでもないかと思って。
解説の田中さんはものすごい読書家だから、
各講演者の著作を既にいろいろ読んでたんですね。
だから、その辺は田中さんにお任せして、
田中さんが読んでない本だけ目を通しておきました。
基本的にはパソコンの前で講演を見る人と
同じような気持ちで
やれればいいなぁと思ってました。

一応そんな準備はしてみたものの、
どんな講演会になるかは
やっぱり想像がつかなかったんですね。
だから、どんな講演になるんだろうなぁと
楽しみにして会場に向かったんです。
インターネット中継というのも
初めての経験だったし。
舞台袖は裏も表も含めて
いろんなものを見ることができますよね。
そんな面白さを
会場に来られなかった方に
伝えられたらなぁって思ってました。
 
── 開演1時間前から
この中継は開始しましたが
始まってみてどうでしたか?
 
今泉 講演前の1時間っていうのは
これから何が起こるってことが
みんなよくわかっていないこともあって
一番楽しくやっていると思います。
ずいぶん遊んでますよね。
詫摩さんの講演が終わったあたりまでは
まだ調子がいいんですよ。
でも、吉本さんの講演が終わったあたりから
ぼくにしろ、土屋さんにしろ
糸井さんにしろ、田中さんにしろ
そういう調子の良さが
だんだん無くなっていっちゃって。
 
── それはどうしてなんですか?
 
今泉

長老の皆さんの言葉の重さ、かなぁ。
重い、というのは
単に難しいということではなくてね。
まず、詫摩さんの講演は
オーソドックスな形だったし
内容もとてもわかりやすかったんですね。
感想も言いやすかった。
だから、
イベントの導入としては
本当に良かったと思います。
でも、吉本さんの講演が始まって、
聞いていくうちに
「ガツン!」と来てしまって。
これは是非DVDを観てもらいたいんですけどね、
このイベントでの長老の言葉には、
自分の人生のどこかに響く言葉が
多分誰でもあると思うんです。
僕の場合は
まず吉本さんの講演で
あまりにも「ガツン!」ときて、
喋れなくなったんですよ。


今泉さんが「ガツン!」ときた吉本さんの講演
 

── 話すことが仕事である
アナウンサーなのにですか?
 
今泉 そう。
確かに話すことが仕事なんだけど、
言葉が出てこないというか。
映像を見て喋れなくなったという経験が
過去に2回あるんです。
ひとつは阪神大震災、
もうひとつが同時多発テロの時。
阪神大震災の時は
阪神高速が横に倒れている映像をみて
何を言っていいのかわからなくなりました。
自分が今まで生きてきて、
自分の目で見てきたものと
目の前の映像の中で起こっていることの間に
言葉が見つからなくて。
「大変ですね」も
「かわいそう」も
「すごいですね」も全部違う。
同時多発テロの時も同じで、
ビルに飛行機が突っ込んでいって
ビルが崩れ、人がどんどん下に落ちていく。
その映像に対して、やっぱり言葉が出ない‥‥。

こういう事件や災害と比べるのは
もしかして違うのかもしれないけれど、
吉本さんの言葉を聞いたときにも、
まず「うわぁ」って思ってしまって、
そこから言葉が出なくなってしまったんです。
普段、私はいろんな人から話を聞いて、
そのことを自分なりに咀嚼して
テレビの前の人に伝えているわけです。
でも、吉本さんの言葉は
自分の人生に比べたらあまりに重すぎて、
とてもじゃないけど
簡単に自分の言葉に直すことができない。
「これは話せない…」
って困っていたら、
横にいた土屋さんも
全く同じ状態に陥っていたんです。
私にとって、土屋さんは
テレビ業界でのすごい先輩ですけど、
その土屋さんでも言葉が出ない。
「すみません。言葉が出ません。」
という状態になっていたんですよね。
それを見て、
このあともこんな風にうまく話せない状態が
続くかもしれないけれど、
もしかすると
舞台袖サテライトスタジオは
これでいいのかもしれないな、と
思えてきたんですね。
だから、土屋さんには
とっても感謝しています。
 
── 今回は「ほぼ日コンプリートBOX」の特典として
あの中継を一枚のCDに編集することになりました。
音であの中継を聞くことについて
どう思われますか?
 
今泉 音で聞いていただくと、
私は決して
アナウンサーとしていい仕事をしているわけでは
ないんです。
でも、現場の感じは伝わるんじゃないかと思います。
当日、糸井さんもずいぶん緊張してたんですよね。
「フタを開けてみないと
 どんな人が来てくれているかわからない」とか、
始まってみたら客席が見えないし
最初はほとんど笑いも無かったので
「みなさん、まじめに聞いているのか
 退屈しているのかわからない」
って、いろいろ心配していて。
それで、なにかと
舞台袖サテライトスタジオに来ては
私や田中さんや土屋さんに
「いやぁ、いいよねぇ?」って
確認しに来ていました。
こんなことは、会場で講演を聴いていた人は
知らないことだと思うし。
目の前で行われた講演に対して
糸井さんや土屋さんがどう思って、
どう感じたか?っていうことは
このCDじゃないと聞けないと思います。
おそらくDVDを観ながら、
講演の合間に
このCDを聞くっていう楽しみかたをすると、
会場にいた人も、裏にいたぼくらも
どんどん引き込まれていったっていうことが
伝わるんじゃないかと思います。
それは一緒にぜひ感じて欲しいなと思います。

読者メールもリアルタイムで
読ませていただいたんですけど
どの言葉が心に残るかっていうのは
一人一人本当に違ってるんですよね。
メールによって
「ここが心に残りました」って所が
全然、違うんですよ。
一人一人、生きてきた経験が違うわけだから、
70年、80年と、
それもものすごい経験をして生きてきた人達の
どんな言葉と響きあうのか、というのは
本当にバラバラなんですよね。
そのバラバラさ加減が、
メールを読んでて
非常に面白かったです。
ぼくはぼくで、
聞きながら心の中で「うわぁ」って思っている。
その「うわぁ」と、
イトイさんが「うわぁ」って思っていること、
田中さんが「うわぁ」って思っていること、
土屋さんが「うわぁ」って思っていることは
話してみるとまた違ってたりして。
同じ言葉に「うわぁ」って思っていても、
その言葉から何を感じたか、は
違うんですよね。
それがまた面白くて。
涙流したっていう中学生もいましたっけ。
だから、心に響くかどうかというのは
年齢には関係が無いということですよね。
 
── 今泉さんは講演終了後
どのようなことを思ったのですか?
 
今泉 ぼくが70歳ぐらいになった時に、
あの長老達のようなたたずまいで
話ができるようになっていたら
いいなぁって思いました。
皆さんカッコいいんですもん。
小野田さんは
唯一80歳を超えているにも関わらず、
1時間立ったままで講演なさいましたよね。
あれ、ホントにカッコよかった。
今まで、自分の20年後や30年後って
ちゃんと考えたことが無かったんですね。
目の前のことで精一杯で。
でも、ずっと年上の人を見て
初めてああいう風になりたいなぁって思いました。
ほんと、ぼくの人生にとって
このイベントで得たものは大きかったですよ。

多分、この智慧の実というイベントで得たことは、
すぐに自分の何かが変わるというのじゃなくて、
後から効いてくるものなんじゃないかと思います。
これから先の人生のどこかで、
いつかきっと思い出すだろうな、
いつか自分を支えてくれるだろうな、
そう確信できる大事な言葉が
いくつもありましたから。
だから皆さんも、
今はピンとこなかったとしても、
いつか来るかも、というつもりで
楽しんでいただけると
いいんじゃないかなと思います。

今泉さんが舞台袖で実況をしている模様を収録した
「舞台裏CD」を手に入れることができるのは
「ほぼ日コンプリートBOX」だけです。

ほぼ日コンプリートBOXの詳細はこちら
※完売しました。ありがとうございました。


【智慧の実関連ニュース】
Amazon.co.jpでも取り上げられています。
(darlingの特別コメントもあります)
本はこちら  DVDはこちら

2003-11-26-WED

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