怪・その5 「痛み」
私と祖母はたまに不思議なものを
見てしまうことがあります。
今日は、その祖母のお話を‥‥
ある夜祖母は、化粧水をはたいたあと、
そろそろ寝るか‥‥と布団に入り、
照明を消したのだそうです。
すると、足元に何かいる。
よく見るとそれは、真っ直ぐにこちらを向いて、
きちんと正座をしている友人だったと言う事です。
「あらっ」と思う間もなく、
友人の彼女は正座をしたまま腕だけで
祖母の足に掴まり這い上がってきたそうです。
そして手を伸ばして、祖母の肩を掴み、
もう一本の手で祖母のお腹の中を掴んだのです。
掴まれた所のあまりの痛みに、祖母は悲鳴を上げ、
その声を聞きつけた私が駆けつけました。
もちろん電気をつけた部屋には祖母しかおらず、
どうしたのかと尋ねると、血の気が引いた顔をして
座ったまま祖母は言いました。
「黒松内の○○さん‥‥死んだんじゃないかしら‥‥」
次の日の早くに電話をしてみたところ、やはりと言うべきか
彼女は昨夜遅くに亡くなられたという事でした。
祖母がつかまれた場所と同じ、
すい臓にガンがあったということです。
彼女は苦しさを誰かに知らせたかったのでしょうか‥‥
(にょろ)
2005-08-09-TUE
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