怪・その6 「黒い靄」
昔から、私は死にそうな人がわかるんです。
葬式を出す家もわかります。
その周りに、黒く靄(もや)がかかるから。
学生だったころ、
担任の先生に靄がかかってしまいました。
どうしよう!先生は死ぬんだ!
どうしようもなく怖くなって、
先生に「病気に事故に気を付けて!」
と言った翌日、先生の訃報を知りました。
帰宅後、お風呂場で突然心臓が止まったそうです。
お葬式の日、クラス全員で参列しました。
悲しい気持ちで家に帰り、自分の部屋に入った瞬間、
「どうして俺が死ぬのを知っていたんだ!」
先生は自分のお葬式からついて来られたのだと思います。
そのときの先生の恐ろしい表情が、頭から離れず、
死にそうな人がわかっても、もう二度と言うまいと、
心に誓いました。
(りん)
2005-08-09-TUE
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