怪・その27
「涼しい部屋」
中学の修学旅行で京都に行ったときのことです。
初夏の京都は既に暑くて、
到着した旅館の「初音」という部屋はとても涼しく
喜んでいたのですが、
お風呂から帰ってきたら湯冷めするほどに
寒くなってきたので、旅館の人に
「すみません、部屋が寒いので
冷房を止めてください」とお願いしたら
「冷房は入れていないよ」と言われました。
「山側だから、きっと涼しいんだね。」
「井戸があったから、水で涼しいのかな」と
言っていましたが、なんとなく怖くなってきて、
少し嫌な気持ちになっていた時に、
窓が大きな音を立てたので皆パニックになりました。
でも、犯人は同級生の男子で
ベランダを伝わって脅かしに来たのでした。
皆で文句を言いながら彼の写真を撮って
「本当に怖かったんだよ!!」と笑いましたが、
興奮して皆ひざが震えたまま止まらず、
ルームメイトの一人がやっぱりこの部屋嫌だ!
と泣き出してしまって先生に頼み込んで
一つだけ空いていた狭い部屋に移してもらいました。
冷房が元々無いその部屋はとても暑かったですが
その夜は何事もなく眠ることが出来、
翌日私たちはその旅館を後にしました。
数日後現像した写真を見ていたら、
初音の部屋で撮った男子の後ろにはっきりと
白い手がひとつ写っていました。
そしてその3年後、その写真をもう一度見ると
3年前は気がつかなかった人の形をした影が、
窓の外に4つ写っていたのです。
あのまま「初音」に泊まっていたら、
私たちはどうなっていたんでしょう。
(トモ)
2005-08-24-WED
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