怪・その3
「お葬式の夜に」
3年ほど前のことです。
お風呂で頭を洗っていると、
聞き覚えのある音がするのです。
「あぁ、おばあちゃんちの時計の鐘の音だ」
直感的になにか嫌な予感がするので、
母に相談しました。
祖母宅に電話し、無事を確認して
安心していたときです。
その祖母と同県にすむ叔父(祖母の三男にあたる)が、
他界したと連絡がありました。
二人の幼い男の子と、奥さんをこの世に残し、
自ら命を絶ったというのです。
信じられませんでした。
一通りお葬式も終わり、
その日は叔父宅に一泊することに。
叔父の息子たち、私、妹の4人は
一緒の部屋に寝ました。
その頃深夜ラジオにハマっていた私は、
午前2時くらいまでヘッドフォンで
ラジオを聞いていました。
隣では妹たちが寝息を立てています。
すると、閉められているドアの隙間から、
白っぽい煙のようなものが入り込んできたのです。
恐怖を感じながらも、目が離せませんでした。
「‥‥おじさん?」
霊感など皆無の私ですが、そのときははっきりと
「これはおじさんの霊だ」と感じました。
その白い霊(?)は、
叔父の息子たち2人の周りを取り囲むように
フワフワとさまよい、
またドアのわずかな隙間から出て行きました。
叔父は息子たちのことを気にかけ、
夜にそっと寝顔を見に来たのでしょうか。
あのときの光景を、
未だに家族や親戚に話せずにいます。
なんだか言ってはいけないような気がして‥‥。
(宮城県・まる・20歳)
2006-08-03-THU