おさるアイコン ほぼ日の怪談2006

怪・その23
「同じ人だった」

高校生の頃、
部屋でふつうに過ごしているという夢を見てました。
夢だってことはわかってるけど、
部屋の奥行きや家具の大きさや距離感が
はっきりくっきりしていて、
(今日の夢は、妙にリアル!)と、おもしろくなり、
隣の弟たちが寝ている部屋はどういうふうに見えるか、
見物しに行くことにしました。

自分の部屋のドアの取っ手を握ろうとしても、
スカスカしてしまい、かなり苦戦したのですが、
ようやくドアが開きました。
弟たちの寝ている部屋を見ると、
寝ている弟たちの布団の横に、
和服姿で坊主頭のおじさんが、
顔をうつむき加減にして正座しています。
夢とはいえ、弟たちの部屋に入ると
なにかまずいような気がして、
おじさんがこちらに気がついて顔をあげる前に、
そっとドアを閉め、
布団に入って寝ることにしたのでした。

これで終われば、ただの奇妙な夢の話なんですが、
ちょうどこの頃、弟のひとりが血相を変えて、
部屋の鏡という鏡をすべて捨て、
昼間なのに窓が見えないようにカーテンをしめきって、
とにかく「姿が映るもの」を躍起になって、
全部排除したんです。
それがあまりに鬼気迫る勢いだったので、
母があきれて「なにやってるの?」と叱ったところ、
「だって、おじさんが部屋にいて
 こっちを見ているんだ」
と弟はいうのです。

どうやら、ふだんはそのおじさんを見ないように
目をそらしながら行動していればいいけど、
鏡などで自分の姿を見るときに、
背後からのぞきこむおじさんを
見ちゃうみたいでした。

弟が見るというおじさんの風貌を聞いたら、
私が夢で見たおじさんと、ぴったり同じでした。
2人で同じものを見たなら間違いありません。
そういうことってあるんだなーって思いました。

(yae)


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2006-08-21-MON