怪・その28
「冷たい手」
まだ私が学生で、山手線の駅に程近い
いわゆる高級住宅街に住んでいた頃の話です。
小さなマンションに住んでいたのですが、
夜寝ている時に急にドライヤーのスイッチが入ったり、
何日か家を空けて帰った日に部屋に入ると、
勝手にエアコンがついていたり‥‥、
妙な事は有りましたが、
それ程気にもせず過ごしていました。
ある日寝ていると、何とも言えない恐怖感で目が醒め、
その瞬間金縛りにあいました。
そして動けないながらも、
何かが悪意を持って私に近付いてくる感覚‥‥、
そして、仰向けに寝ている私の頭と枕の間に、
冷たい女性の手が差し込まれました。
その後、どうしたか覚えていません。
でも‥‥私の頭の地肌に触れるその手が、
とても冷たかったのは今でも覚えています。
その後引越しをして、今は違う所に住んでいますが、
当時遊んでいた友人が今になって言います。
「ずっと言えなかったんだけど、
あの部屋、
なんだかすごく怖かったよ」と。
(takashi)
2006-08-25-FRI