おさるアイコン ほぼ日の怪談2006

怪・その40
「ついてくる足音」

これは私の先生が、
大学生だったときの話です。

先生の大学は傾斜地に建っていて、
大学の囲い塀周りを一周するように歩くと、
一ヶ所、細い階段道があります。

先生はある日、そこを下から上へ昇っていました。

と、そこへ、後ろから人が来た足音が。

でもそこは、
人ひとりがやっと通れるような細い階段で、
普段も反対側から人が来たら
その人が通り過ぎるのを待って利用する程の所です。

が、そのときは
自分の後ろから来ているわけですから、
別に急ぐこともないと普通に昇っていました。

しかし後ろから来る足音は、
だんだん早足になり、
徐々に互いの間隔を狭めてきます。

なんだよ、急ぎやがって‥‥、
と思いつつも、先生も早足になります。
でも結局、後ろの人はぴったり背後まで
追い付いてきました。

急かされるように階段を昇りきった先生は、
少しイライラ。
ったく、どんなやつだよ‥‥、
と顔を見てやろうと振り向くと、

しかし、そこには誰も居ませんでした。
もちろん階段や、その下のもと来た所にも。

あとで人から聞いた話によると、その階段では、
足音だけが後ろからついてくることが
よくあるそうです。

(I)


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2006-09-01-FRI