怪・その11
こどもだった
母と電車に乗っていたときのことです。
並んで座り、私は本を読み、
母は眠っていました。
すると眠っていたはずの母が急に
「いま河童が来たよ」
と言うのです。
本人の話によると、
眠っておらず、
目を瞑っていただけだったが、
誰かに手の甲をペチペチと叩かれ、
目を開けると
いわゆる河童(どうやらこども)が
立っていたそうです。
無言で見つめ合ううちに、
なんとなく河童の気持ちを感じ、
「お水が欲しいの?」と聞くと
その子がうなずいたので、
「うん、わかったわかった」と言うと
スッといなくなったそうです。
隣にいた私は全く気付かなかったので、
いまだに夢か現実か
母と決着がつきません。
(M)
2009-08-11-TUE