怪・その24
不思議な物音
去年の夏のことです。
6歳の娘と主人が二人で夕方から夏祭りに行き、
私は一人自宅で夕食を作っていました。
のんきに枝豆をゆでていると、
食卓の方から「がさがさ!」と音がします。
かなり大きな音で、
「ひっ?! ねずみ? ごきぶり?」と見に行くと
何もいない。
今度はキッチンから「ばさ!」。
大きな柔らかいものが、
高い所から落ちたような音。
見に行くとなにもいない。
なにも落ちていない。
今度はリビングから「ザザー!!」
やっぱりなにか居る!
驚きで硬直していると、
いきなり携帯の呼び出し音が鳴り出し、
飛びあがりました。
見ると主人から。
「○○(娘)がいなくなった!
迷子になったみたいだ」
お祭りの人ごみで、はぐれてしまったようです。
あわてて火の始末をして、
私も探しに行こうかと思った矢先に
再び携帯が鳴りました。
娘は、
「自力で交番にたどり着き、わんわん泣いてた」
とのこと。
ほっと一息ついたら、
家の中から聞こえていた妙な物音が
しなくなっていた事に気がつきました。
落ち着いて思い出すと、
驚きこそ強かったものの、
あの物音の主に対して恐怖は
ほとんど感じていませんでした。
誰かが娘の危機を教えてくれたんでしょうか。
それとも、パニックを起こした娘の心だけが
帰宅していたんでしょうか。
あれきり、不思議な物音も、気配も、感じません。
(ベル吉)
2009-08-20-THU