怪・その18
「納戸の中から」
2007年の冬、
実家の自分の部屋で寝ていたときです。
夜中に音楽が聞こえ始めましたが、
最初は夢? と思い、
次に、あっ! 携帯のメールかぁ‥‥と思って
ほおっておきました。
しかし、いつまでたっても止まないし、
よく考えると、
私の携帯の着信音には無い
オルゴール音でした。
だんだん目もはっきりと醒め、
音の出所を耳だけで探すと、
部屋に隣接している3畳ほどの納戸から
聞こえてきます。
納戸の外は隣の家なので
てっきり隣の家から洩れている音だと確信して
納戸の中を見渡すと、
亡くなった祖母の部屋にあった
大きなガラス戸の付いたケースがありました。
音はそのケースから聞こえます。
そのケースは、
生前祖母が大切にしていた人形や
置物が飾ってあるだけで、
オルゴールなど音の出るものは無いはずです。
しかし、さがしてみると、
一つだけ隅っこにありました。
7年前の敬老の日に
私が祖母に送った
メロディ付電報から音は流れていたのです。
時計を見ると、日付は変わって、
祖母の命日でした。
私をかわいがっていた祖母だけに
このことは怖いというより
なんだか、嬉しかったです。
(みさりん)
2010-08-16-MON