おさるアイコン ほぼ日の怪談2010
怪・その19
「怒っている」


那須高原の有名ホテルでのことです。

友達どうし3人で泊まった部屋は
3階の廊下の、奥の角部屋でした。

さんざん遊んでしゃべって
寝静まった深夜だったと思います。

私は部屋の一番奥のベッドで寝ていました。

突然、目が覚め、

人がひとりゆっくりと廊下を歩いている

気配がするというか、映像が頭に浮かぶというか
変な感じがしました。

恐怖というよりビックリして
軽くパニックになり、動けません。

私はベッドの中、
部屋の入り口に背を向けた格好で横になり
小さく丸まったままジッとしていました。

その人はゆっくりと
自分たちが泊まっている部屋の前まで来て
ドアノブを握ります。

「カギ掛かってるから大丈夫っ!」



思ったのもつかの間‥‥

ガチャガチャッと2、3回ドアノブを回すと
ドアは開き、入って来るではありませんか!

私は布団の中で固まったまま。

廊下に背を向け
ギュッと目をつぶっていたのにも関わらず
その人が外人男性であることがわかりました。

その男性は部屋の奥へ入ってきて
私の背後に立ちスッとかがむと、
私の耳元に向けて
急に怒鳴り始めました。

耳で聞くというより、頭に響く感じです。

何語なのか、何を言っているのか
さっぱりわからないのですが、
怒りは感じます。

わけがわからず
布団をかぶって震えながら、
帰ってくれることを願いつつ
私には何もできないことを
心の中で詫びていると

急にフッと消えてしまいました。

彼は誰に何を怒っていたのでしょうか。

(カノン)


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2010-08-18-WED