怪・その19
「怒っている」
那須高原の有名ホテルでのことです。
友達どうし3人で泊まった部屋は
3階の廊下の、奥の角部屋でした。
さんざん遊んでしゃべって
寝静まった深夜だったと思います。
私は部屋の一番奥のベッドで寝ていました。
突然、目が覚め、
人がひとりゆっくりと廊下を歩いている
気配がするというか、映像が頭に浮かぶというか
変な感じがしました。
恐怖というよりビックリして
軽くパニックになり、動けません。
私はベッドの中、
部屋の入り口に背を向けた格好で横になり
小さく丸まったままジッとしていました。
その人はゆっくりと
自分たちが泊まっている部屋の前まで来て
ドアノブを握ります。
「カギ掛かってるから大丈夫っ!」
と
思ったのもつかの間‥‥
ガチャガチャッと2、3回ドアノブを回すと
ドアは開き、入って来るではありませんか!
私は布団の中で固まったまま。
廊下に背を向け
ギュッと目をつぶっていたのにも関わらず
その人が外人男性であることがわかりました。
その男性は部屋の奥へ入ってきて
私の背後に立ちスッとかがむと、
私の耳元に向けて
急に怒鳴り始めました。
耳で聞くというより、頭に響く感じです。
何語なのか、何を言っているのか
さっぱりわからないのですが、
怒りは感じます。
わけがわからず
布団をかぶって震えながら、
帰ってくれることを願いつつ
私には何もできないことを
心の中で詫びていると
急にフッと消えてしまいました。
彼は誰に何を怒っていたのでしょうか。
(カノン)
2010-08-18-WED