おさるアイコン ほぼ日の怪談2010
怪・その28
「タンスから」


4年くらい前のことです。

夜、自分の部屋で寝ていると、
夜中にふと目が覚めてしまいました。

体が、金縛りにあう前の
キーンというような
ザワザワした感じがしたので
なんか嫌だなぁ‥‥と思いながら、
豆電球の灯りのなか、
部屋の本棚の上の時計をみていました。

「うわっ!」

金縛りがはじまると同時に
本棚の前に
ぼわーとした人のカタチが出てきたのです。

その人影はだんだんハッキリとしてきて、
おかっぱ頭の女の人が、
赤いチェックのパジャマ姿で立っていました。

金縛りで声も出ず
心のなかで「ぎゃー!」と叫んだとたん
金縛りは解け、
あわてて頭から布団をかぶり、
そのままいつの間にか眠っていました。


その何日か後に、
嫁いだ姉が
実家である私の家に泊まりにきました。

泊まった次の日の朝
姉が部屋にあるタンスの扉の取っ手を
紐でぐるぐる巻きに結んでいます。

「どうしてそんなことしてんの?」

と訳を聞きました。


前の晩、姉も夜中に
目が覚めてしまったそうです。

すると、寝ている足下のタンスの扉が
いきなりガバッと開き、
中から女の人が飛び出してきて
寝ている姉の上にガバッと乗り、

「びっくりしたでしょ」

とニヤニヤした顔で言ったのだそうです。


そこでなぜかまたハッと目が覚めたので
夢か現実かわからないけど
もの凄く怖かったから
タンスの扉が開かないようにしてる、
とのことでした。

もしかして‥‥と思い、

「ねえ、その女の人、どんな格好してた?」

と聞くと


「‥‥赤いチェックのパジャマ着てたよ」

(f)


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2010-08-25-TUE