怪・その5
「戸の向こうの掌」
あれは私が小学校低学年の頃。
その日の夜、家には祖母と姉、
そして私の3人しか居ませんでした。
祖母は毎夜9時過ぎには寝床に入る人で、
居間には姉と私だけがいました。
狭い家だったので、
居間の扉を開けたままにしていると、
部屋から玄関が丸見えでした。
田舎でしたので、夜は特に静かです。
家に誰かがやってくれば、
必ず音が聞こえるという環境です。
にもかかわらず、それは突然やってきたのです。
「カタカタカタ‥‥」
と玄関の引き戸を開ける音が。
私と姉は同時に玄関の方を見ました。
開いた戸の向こうに見えたのは、
大きなどす黒い掌‥‥
そう手首から先の
掌の部分だったのです。
腕の部分は有りません。
思わず「あっ」と声を出してしまいました。
その声に気がついたかのように、
手首は向きを変え、
また戸を閉めたのです。
この時は「カタカタ‥‥」という音はしませんでした。
恐かったのですが、
姉と私はすぐ外へ出て見ました。
誰も居ませんでした。
なんだったのでしょうか‥‥
今でも時々姉とその話をします。
(にゃ〜ご。)
「戸の向こうの掌」
あれは私が小学校低学年の頃。
その日の夜、家には祖母と姉、
そして私の3人しか居ませんでした。
祖母は毎夜9時過ぎには寝床に入る人で、
居間には姉と私だけがいました。
狭い家だったので、
居間の扉を開けたままにしていると、
部屋から玄関が丸見えでした。
田舎でしたので、夜は特に静かです。
家に誰かがやってくれば、
必ず音が聞こえるという環境です。
にもかかわらず、それは突然やってきたのです。
「カタカタカタ‥‥」
と玄関の引き戸を開ける音が。
私と姉は同時に玄関の方を見ました。
開いた戸の向こうに見えたのは、
大きなどす黒い掌‥‥
そう手首から先の
掌の部分だったのです。
腕の部分は有りません。
思わず「あっ」と声を出してしまいました。
その声に気がついたかのように、
手首は向きを変え、
また戸を閉めたのです。
この時は「カタカタ‥‥」という音はしませんでした。
恐かったのですが、
姉と私はすぐ外へ出て見ました。
誰も居ませんでした。
なんだったのでしょうか‥‥
今でも時々姉とその話をします。
(にゃ〜ご。)