怪・その8
「消えた姉」
怪談と言っていいのでしょうか。
怖くはなかったけれど、ひどく変でした。
わたしには姉がいます。
明るくいたずらの好きな彼女は、
思いもよらない楽しい罠を仕掛けて、
いつもわたしを笑わせてくれました。
ある日のことです。
自宅から、実家に帰ってきた姉と、
居間でダラダラしていました。
いつものように、人が聞いたら呆れるような
ほとんど実のない楽しい雑談をしていると、
わたしの携帯に着信がありました。
画面を見てみると、相手は、
いま目の前で雑誌のページをめくっている姉でした。
手の込んだいたずらを‥‥とニヤニヤしながら
電話に出ると、姉が言いました。
「いまこっちを出たからね。
美味しいタルトを買ったから、
楽しみにしておくように。
1時間後に着くよ」
へー、それは楽しみだな、と、
相変わらずニヤニヤしながら聞いていました。
どんな仕掛けになってんだ? と思った瞬間、
突然、玄関のドアがバーンと開き、
タルトの入った箱を持った、
姉が、
ウッソー! 玄関にいましたー!
家の中に入ってきた姉に目を奪われ、
はっと横を見ると、
さっきまで雑誌をめくっていた姉は消えていました。
それどころか雑誌もカルピスの入ったコップも
なにもなく‥‥。
タルトは確かに美味しかったけど、
姉の行方が気になって仕方ありませんでした。
なんとなく、姉にはこの話ができません。
(のんこ)
「消えた姉」
怪談と言っていいのでしょうか。
怖くはなかったけれど、ひどく変でした。
わたしには姉がいます。
明るくいたずらの好きな彼女は、
思いもよらない楽しい罠を仕掛けて、
いつもわたしを笑わせてくれました。
ある日のことです。
自宅から、実家に帰ってきた姉と、
居間でダラダラしていました。
いつものように、人が聞いたら呆れるような
ほとんど実のない楽しい雑談をしていると、
わたしの携帯に着信がありました。
画面を見てみると、相手は、
いま目の前で雑誌のページをめくっている姉でした。
手の込んだいたずらを‥‥とニヤニヤしながら
電話に出ると、姉が言いました。
「いまこっちを出たからね。
美味しいタルトを買ったから、
楽しみにしておくように。
1時間後に着くよ」
へー、それは楽しみだな、と、
相変わらずニヤニヤしながら聞いていました。
どんな仕掛けになってんだ? と思った瞬間、
突然、玄関のドアがバーンと開き、
タルトの入った箱を持った、
姉が、
ウッソー! 玄関にいましたー!
家の中に入ってきた姉に目を奪われ、
はっと横を見ると、
さっきまで雑誌をめくっていた姉は消えていました。
それどころか雑誌もカルピスの入ったコップも
なにもなく‥‥。
タルトは確かに美味しかったけど、
姉の行方が気になって仕方ありませんでした。
なんとなく、姉にはこの話ができません。
(のんこ)