怪・その16
「後続車」
去年の今頃のことです。
蒸し暑い日が続いていました。
夜、夫が帰ってきて
いつものように晩酌をしていましたが、
「ヘンな車がいてさ」
ぽつり、ぽつり、話しはじめました。
「いつもならまだたくさん
車が走っているんだけど、
高速が妙に空いててさ」
「あっちはすごく雨が降っていて」
「妙に青いライトでさ」
「雨の中をぼわあーっと照らされて」
「右後方から照らされたから、
追い抜くんだと思って、
ちょっと左に寄せたんだけど」
「なかなか追い抜いてこなくて」
「いきなり雨が上がって」
「そしたら、後ろにいなくて」
「何キロも後ろまでずっと車がなくて」
「そのとき、そこが
火葬場を通り過ぎたとこだって気がついて」
夫は、ふと箸をおいて立ち上がり、
隣の仏間に行き、
仏壇に手を合わせていました。
(こぢんまり)
「後続車」
去年の今頃のことです。
蒸し暑い日が続いていました。
夜、夫が帰ってきて
いつものように晩酌をしていましたが、
「ヘンな車がいてさ」
ぽつり、ぽつり、話しはじめました。
「いつもならまだたくさん
車が走っているんだけど、
高速が妙に空いててさ」
「あっちはすごく雨が降っていて」
「妙に青いライトでさ」
「雨の中をぼわあーっと照らされて」
「右後方から照らされたから、
追い抜くんだと思って、
ちょっと左に寄せたんだけど」
「なかなか追い抜いてこなくて」
「いきなり雨が上がって」
「そしたら、後ろにいなくて」
「何キロも後ろまでずっと車がなくて」
「そのとき、そこが
火葬場を通り過ぎたとこだって気がついて」
夫は、ふと箸をおいて立ち上がり、
隣の仏間に行き、
仏壇に手を合わせていました。
(こぢんまり)