怪・その31
「壊れたドアノブ」
私の、高校の受験まじかのころのことです。
私と妹、それぞれの部屋は2階にありました。
妹が夜中にふと目覚めたとき、
階段を上がってくる音がしたので、
「お姉ちゃん、こんなに遅くまで勉強してたんだ」
と思ったそうです。
しかし、その階段の上り方が
あまりにゆっくりだったので、
妹はおかしいな、と思ったそうですが、
私の部屋の方へ足音は行ったそうです。
翌朝になって、その話を聞いた私はびっくりしました。
なぜって、前日は疲れていたので、
それほど遅くまでは勉強していなかったのです。
ちなみに両親もその時間はぐっすり眠っていました。
また別の日の朝方の出来事です。
私の部屋のドアノブをガチャガチャと、
しつこく回す音で目を覚ましましました。
私は妹がやってるんだと思い、
なにをやってるんだろうとその音を聞きながら
外が明るくなってきていることもあり、
怖さも感じずに、また眠ってしまってました。
私の部屋のドアノブはそのころ壊れかけていて、
ドアを開けるのにコツがいりました。
もちろん妹も両親もそのことは知っていたので、
鍵のないドアのこと、
入ってきたければ勝手に入ってくるだろうと
思っていたのです。
妹は妹で、長いことドアノブでうるさくして、
私が何かしてるんだと思っていたそうです。
両親はその時もまだ起きていませんでした。
そういう不思議な物音はそのときだけですが、
階段を上がってきたのは誰か、
ドアノブを回してたのは誰かわかりませんが、
ドアノブが壊れていなかったら、
誰かが私の部屋に入ってきてたのかも、
と思うと、
今でも恐ろしくなります。
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