怪・その5
「山奥のペンション」
あれは10年ほど前に
群馬の山奥のペンションに行った時のことです。
私、母、友人と、犬5匹で泊まっていました。
真夜中、突然、犬たちが、
ドアのほうに向かって
わんわんと激しく吠えました。
母も友人も起きなかったのですが、
私は様子を見にドアのほうに行きました。
ドアの覗き穴から見ると、
左のほうから、
赤いチェックのシャツ
(登山に着るようなシャツ)を着た
白髪の角刈りのおじさんが
すーっと歩いていくのが
はっきりと見えたのです。
泊まっていた部屋は二階の左はじから二つ目で、
左隣にはお客様はいなかったんです。
そのペンションの従業員には
そのようなおじさんはいないし、
宿泊客もあと1組いましたが、
もう少し若い方でした。
あれは誰だったんでしょうかねえ‥‥。
いまでも時々そこに泊まりに行きますが、
反対側の棟に泊まることにしています。
(まみぞう)