怪・その4
「妹も、同じものを」
30年程前、私の家族は
とある団地に住んでいました。
5階建ての4階の部屋、
四畳半の和室が私たち姉妹の部屋でした。
窓を開けて寝ていたので、夏の頃だったと思います。
夜中に目が覚めた私たちが
ふと揺れるカーテンを目をやると、
髪の長い、白く長いワンピースを着た女の人が
カーテンの端に半分、体を見せて立っていました。
叫んだ私と一緒に
妹も両親の部屋に逃げましたが、
そんなものはいないと一蹴され、
また部屋に戻されました。
その話が怖かったのは
それから何年も経って大人になってからです。
私も妹も結婚して家族を持ち、
子供の頃の昔話をしていた時、
私がふと20年くらい前に
団地で貞子みたいなのを見たわ! と話すと、
全く同じものを妹も見ていたと言うではありませんか。
4階のカーテンの後ろに
体半分見せて立ってたよね、と言うのです。
夢じゃなかったんだ!
とあの日の恐怖が蘇りました。
そして、それからまた10年後くらい経った
つい先日の事です。
また、姉妹で会った時、
あの女の人は本当に怖かったと話していました。
後日談として、子供の頃私は
あの女の人が怖すぎて、
夢にも出てきた、という話をしました。
トイレットペーパーホルダーの銀色の蓋に
その女の人が写っている夢を見たんだよ、と言うと
妹もそれもまた、同じものを見ていたのです。
30年経ってまだなお新たな恐怖を味わった
私たち姉妹でした。
(ひょっこりー)