怪・その9

「あの世はあるんだ。」

今から30年近く昔のことになります。

当時、私は20代で、
新宿区の設計会社に勤めて図面を書いていました。

小さな会社で
社長はじめ従業員は8名程度。
「調査図面」というものを作り、
補修もする会社でした。

わたしは男性社員が出先で撮った写真をもとに、
図面にその撮影場所を書き入れる仕事をしていました。


ある時、その日の撮影写真を記入していたら

「ここは、今は使われていない病院の
 手術室ではないかな?」というものがありました。

何枚かあったので、少し気味が悪いと思いつつ、
特に考えることもなく仕事を終えて帰宅し、
主人と普段通りにすごして就寝しました。


あとから時計を見たので、
夜中の3時頃だと思います。

いきなり「バリバリ」と大音響がしたあとで
(音は頭の中だけで脳に直接という感覚はありました)

急に「ザワザワ‥‥」と、
まるで病院の中のようなざわめきが
耳に飛び込んで来ました。

かなしばりにあって
叫びたくても
間抜けなことに
「あわわ」としか声がでなくて。

「この音の聞こえている場所は、
昼間の写真の病院ではないか」と
直感しました。

そして子供の、かなり小さい、
赤ちゃんかもしれない子供の笑い声が聞こえました。

まるで「遊んでよ」というような笑い声で、

「この子はこの部屋で命を失ったけど、
あそびたいんだ」と感じました。


その時は恐怖でいっぱいでしたが
「あの世はあるんだ。
空間が違うだけで、同じ場所に存在している」

と、理由もなく理解したのです。


その後、必死で起きて、
まず電気をつけ主人に理由を話して、
おそらくしばらくは起きていたと思います。

(mm)

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2018-08-03-FRI