怪・その39

「何かが窓に」

不思議な体験をしたのは、
寒い、冬の深夜だったと思います。

小学生の頃。
二階の寝室で、両親、妹二人、私、と
横に並んで寝るのが日常でした。

みなが寝付いて、しばらく経った頃、
突然、金縛りに襲われました。

寒いのに、なぜか全身に汗がじっとりと滲み出し、
呼吸も浅くなるのを感じながら、
軽くパニックになっていました。

なんとか目を開けたところで、
自分の顔が横向きになっていることに気付きます。
横に寝ているのは次女、
さらにその横に三女が寝ているのが、
蛍光灯の明かりで、辛うじて認識できました。

首はそのまま動かせず、
無意識に妹達の顔へ意識が集中した時、
三女の目が開いていることに気付きました。

三女の視線が、窓に向いています。
窓は、私たち家族が並んで寝ている
頭の上にある形です。

三女はしっかりと目をひらき、
無表情で、頭の上の方を斜めに見上げています。

何かが、窓にいる。

そう、強く確信して、いっそう怖くなった私は、
今度はどうにか目を閉じようとしますが、
ピクリとも動きません。

その間にも何かの気配を窓からじっとり感じ、
どんどん汗が噴き出して来ます。
恐怖がピークに達した時、突然、耳鳴りがしました。
そのまま、急激に意識が遠のいて行くのを感じ、
寝てしまったのか、気絶してしまったのか、
そこからの記憶はありません。

朝、母に揺さぶり起こされた私は、
やはり汗をビッショリかいていました。
朝食の席で家族に昨日のことを話しました。

三女もどうやら金縛りに遭っていたようで、
「何か見たの?」という私の質問に、
窓のレースカーテンから伸びていた手があり、
目が離せず、気付いたら寝ていた、とのこと。

その手の場所が、
ちょうど私の真上の位置だったようです。

結婚を機に、実家を離れていますが、
里帰りする度に思い出すのはこの出来事です。
両親には言えませんが、
今でもあまり実家へ帰るのは気が進みません。

(d)

こわいね!
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2019-08-31-SAT