おさるアイコン ほぼ日の怪談

「二人のおばあさん」

友達のお祖父さんが亡くなった時の事です。

友達のお祖父さんとお祖母さんは
長野の山奥で二人暮らしをしていました。

お祖父さんが亡くなってしまい
お祖母さん一人では高齢もあり放っておけないので
友達とお母さんとで法要が終わるまで
そこでしばらく
お祖母さんと一緒に過ごす事にしました。

葬儀が終わり、夜になって
お祖母さん、お母さん、友達と
同じ部屋に川の字になって寝ることにしました。
お骨にしたお祖父さんも一緒の部屋です。

友達は長距離を運転した事もあって
すぐに眠ってしまったそうです。

次の日お母さんが
「ねえ、あんた昨日なにも無かった?」
と、聞いてきました。
「疲れてたからすぐに寝ちゃったよ。
どうしたの?何かあったの?」
友達は聞き返しました。
お母さんは青い顔をして
「お祖母ちゃんには言っちゃだめよ‥‥」
事の次第を話し始めました。

お母さんがなかなか寝付かれず
何度も寝返りを打っていると
誰かが足を引っ張っているのを感じました。
強い力でぐいぐいと両足を引っ張るのです。
お母さんはすぐに
「ああ、お祖父ちゃんが来た!」
そう思ったそうです。
ものすごい勢いで足を引っ張るので
このままでは連れて行かれてしまうと思い
お母さんは思いきって起きあがって
「お祖父ちゃんやめて!!」
と、言おうとしました。

でも‥‥
起きあがって足下を見ると
そこで足を引っ張っていたのは
お祖父さんではなくて
お祖母さんだったのです。
絶句したお母さんは横を見ました。
お祖母さんは布団の中にちゃんと寝ています。
つまり、お祖母さんが2人いるのです。

そう、お母さんはお祖母さんの
生き霊を見てしまったのです。

お母さんはその後の事は覚えていないそうです。
お祖母さんも特にその後変わった所は無いので
今でもこれは2人だけの秘密にしているそうです。

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