「肝試し」
私が京都で大学生をやっていた頃のことです。
喫茶店でのアルバイトが長くなった私は
チーフ格として店を任されていました。
ある夏の日、いつも几帳面な女の子のバイト生が
1時間以上、遅刻して出勤してきました。
理由を聞くと‥‥
彼女は昨晩、午前2時頃「雲ヶ畑」という
鴨川の上流にある「出る」と有名な場所に
男2女2の4人で肝試しに言ったといいます。
クルマの中では面白がって
キャーキャー言ってたのですが
現場につくともう一人の女の子が
「あたし怖くなったから絶対クルマ降りない」
と言い出しました。
仕方なしに残りの3人であたりを
散策に出たそうです。
3人がこわごわウロついていると、
どこからともなく白い着物を着た老婆が現れ
「このあたりは危険だ。早く帰りなさい‥‥」
「ででで、でーたー!」
3人は絶叫してクルマまで全力疾走したそうです。
留守番の女の子は車中で震えながら眠っていました。
「あれ、絶対お化けやでー」
「間違いないわ」
「そやけど足あったで」
とかなんとか言いながらお腹がすいた彼女達が
なんか食べて帰ろうよ、と
北山通りの吉○家に。
そして注文した牛丼が運ばれてきたとき、
その事件はおこりました。
さっきまで寝ていた、車中で留守番していた女の子が
突然「手づかみで」牛丼を食べ始めたのです。
「いひひひひ」と笑いながら
手で牛丼を食べる女の子。
店の中はパニックになりました。
あわてて自宅に連れて帰り、
さっきまで付き添っていたという話をする彼女は、
私に説明しながら思い出した恐怖で震え、
泣きながら話してました。
聞いてて、あんな怖かった話はないです。 |