おさるアイコン ほぼ日の怪談

「冷笑」

私は母とふたり暮しです。
夜、自分の部屋のドアを開けたまま眠っていると、
廊下を行ったり来たりする人の気配で
目が覚めました。
母が用事でもあるのかと思い
ドアの方を見ると、
現れたのは会った事もない髪の長い女性でした。
起き上がろうとしたら体が動かず、
息苦しくなってきました。
するとさっきの女性が寝ている私の足下に近づき、
足、膝、腰、胸と這い上がってきたのです。
何度も母を呼ぼうとしたのですが、声にならず、
とうとう目と目があいました。
私は必死で母を呼び続けました。
やっと「お母さん!!」と声になった時、
その女性は

「フフフッ‥‥、『お母さん』だって」

と低い声で笑ったのです。
私の声を聞き付けた母が
慌てて入ってきたのですが
私は怖くて説明ができず、
ドアのところへ移動して私達を見て
ニヤニヤ笑っている女性を指差すのが精一杯でした。

母には女性の姿は見えなかったそうです。

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