「熱帯夜」
5年ほど前の話です。
今日も熱帯夜になりそうだ‥‥と、
窓を少しでも長く開けていたくて、
買ってきた雑誌を遅くまで
身じろぎもせず読んでいた私の背中に、
トン‥‥とん、と
何かが押し付けられては離されました。
猫を飼っていますもので、全く疑問を抱かずに、
「にゃあちゃん、やめて」
と、雑誌から全く目を離さずに
何度か言ったと思います。
それが、何度か。
突然飼っている猫が(出入り自由にしてあったので)
私の目の前の窓から入ってきて、
ファアアアッ!と怒りの声をあげて、
耳を伏せて毛を逆立てました。
背中に触れていると思った猫が目の前に現れて、
私はビックリして体を起こそうとしましたが、
背中は何かに押さえられていて、
金縛りのように動けませんでした。
何秒かだったのか、何分も過ぎたのか解りませんが
背中から重みが消えた瞬間、
背中側から声が聞こえました。
「ねえ‥‥まだ、生きてるの‥‥?」
まだ生きているから
こんなメールを送れるわけですが、
あの時は結構怖かったです。 |