「私は神についていく」
私が小学生の頃、通っていた教会での出来事です。
ビリー・グラハムという大変有名な伝道師が
大阪の日生球場で講演を行うことになり、
先生たちも含めみんなで行くことになりました。
小学生の私には、とても難しく
同時通訳ということもあり、
正直つまらなくて、
まわりをキョロキョロ見ていると、
隣にいた高校生のお姉さんが、涙を流しながら
「私は一生神についていく」
と叫んだのです。
私は、すごく驚き、
見てはいけないものを見たような気がして
あわてて目をそらしました。
その次の週の日曜日、
いつものように教会に行くと、
様子がおかしいのです。
礼拝堂が使えないということで、
別の部屋で聖書のお勉強をしましょう
ということになっていました。
「なんで? なんで使われへんの?」
と誰かが先生にたずねると、
先生はちょっと困ったような顔をし、
そして静かに私たちに話し始めました。
あの高校生のお姉さんのことでした。
講演会の夜、眠っていると、
急に首のあたりを
うろこのような冷たい手でなでられ、
目が覚めたそうです。
そして、
「信仰を捨てろ、聖書を捨てろ」
という獣のような声が聞こえてきたそうです。
叫び声をあげようとしても、声が出ない。
身体を動かそうとしても、
金縛りのようになって動けない。
ただただ、その何かは、
首をなでながら、耳元で
「信仰を捨てろ、聖書を捨てろ」
とささやくばかり。
しばらくして、ようやく金縛りがとけ、
彼女はありったけの声で叫びました。
両親がその声に気がつき、かけつけました。
そして、娘の姿を見て言葉を失ったそうです。
彼女の首の皮が、大きくはがされていたのです。
それは中心から左右にきれいにめくられ、
まるで開いた本のようになっていたそうです。
何人かの子供たちが泣き始めました。
先生は「こわがらないで」と話を続けました。
今、礼拝堂では、牧師先生が悪魔祓いをしている。
だから、もう大丈夫と。
聖書の勉強が終わったあと、部屋から出ると、
あのお姉さんがご両親と一緒にいました。
マントのような立派な衣装を身につけた牧師先生に
何度も頭を下げていました。
そして、そのお姉さんの首には、
しっかりと包帯が巻かれていました。 |
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