Romaは、左から読めばローマ、
右から読めばamor(アモール=愛)です。
死と再生を繰り返し、そのつど
以前よりもっと魅惑的で情熱的になることから、
イタリアではいつの世にも
「永遠の都」と呼ばれる唯一の街です。
言うまでもなく、イタリア共和国の首都ですね。
ローマは「美しい」の一言では片付けられません。
「魅惑的」と言っても、
その魅力の一部分しか表せません。
ローマは世界にふたつとない特別な街です。
イタリア人の誰もがそう言うでしょうが、
30年間以上、さまざまな大陸や国を訪れた、
いわば世界人のぼくも、
こんな街は世界中のどこにも無いと断言できます。
この限られたスペースで、
ローマの魅力について語るのは難しいのですが、
旅行者たちが大急ぎで回るコースでは見落しがちな
独特な雰囲気を、写真も添えて、
ご紹介できると良いなと思います。
ローマは噴水の街でもあります。
「建築学的」に優れた噴水の数々が、
時の流れに持ちこたえて現存しているのですが、
時を経るごとに「美学的」にも
貴重な美しさを重ねています。
ベルニーニ広場近くのトリトーネの噴水は
雄大で崇高な姿が有名ですが、
スペイン広場の小さな噴水は、
もはやこういう職人技は見つけにくいというような、
ジュエリー細工の巧みを思い起こさせます。
世界で最も写真に撮られる噴水のひとつでしょう。
▲トリトーネの噴水
▲スペイン広場
それから、ローマの泉といえば、
誰もが知っているのはトレヴィの泉ですね。
映画「甘い生活」の山場で、
アニタ・エクバーグが泉に入るシーンに使われ、
大反響を呼びました。
▲トレヴィの泉
▲アニタ・エクバーグ
「甘い生活」は、
退廃的で悦楽を求めながらも、
いつも魂の浄化を探しつづけるような人々にとって、
シンボル的な映画です、
1958年、半世紀も前に撮影されました。
この映画がイタリアで初上映された時には、
道徳に反するとカトリック教会が声明を出したことで、
スキャンダルが巻き起こりました。
でも結果的には世界中の国々で大成功をおさめます。
▲ヴェネト通りにある、フェリーニの「甘い生活」撮影記念プレート
“フェデリーコ・フェリーニ
ヴェネト通りを「甘い生活」の劇場にした人
1995年1月20日”
これも「甘い生活」の舞台となった場所のひとつ、
ヴェネト通りのカフェ・ド・パリには、
半世紀前の当時、実際に俳優たちや知識人たちなど、
vipたちが世界中から感動を求めて集まっていました。
紀元前からの歴史を感じさせる街のシックなカフェ‥‥
世界の近代的な才能の数々が集まるのに、
こんなにふさわしい場所は、
他にはみつからなかったからです。
▲ヴェネト通り、カフェ・ド・パリの前
フェデリーコ・フェリーニ監督に捧げられた
ヴェネト通りは、今でも当時の
「ちょっと禁止された魅力」を保っています。
ここがあの映画の通りかと思う楽しさもあり、
ローマの夏の美しさが
ぎゅっと詰まっている通りでもありますが、
でも、ここはひとつ「何も考えない」で、
お買い物のことでいっぱいの頭も空っぽにして、
ただただ、ぷらぷらと散歩してみてください。
ローマだけがプレゼントしてくれる何か特別な空気を、
きっと、感じることができますよ。
さて、ヴェネト通りからスペイン広場を抜けて行くと、
コンドッティ通りに、
もうひとつの伝説的なカフェがあります。
カフェ・グレコ、創業1760年です。
優雅なドレープのカーテン、
壁に飾られた絵画や鏡、シックな肘掛け椅子など、
博物館にでも納めたくなるような貴重な調度品が、
今も昔と同じように客を迎えてくれます。
▲2点ともカフェ・グレコ
カフェ・グレコの素敵なインテリアに囲まれて、
最高に美味しいエスプレッソなどをいただけば、
身体だけでなく、心の元気も、とりもどせます。
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ローマの街の中には
世界一小さな(でも、とても裕福で威力のある)
国がありますね。ヴァチカン市国です。
面積はわずか0.44平方キロながら、
ローマカトリック教会の総本山であり、
世界から集まる巡礼者たちが向かう場所です。
ヴァチカン市国には、
これももちろん世界一小さな軍隊があり、
スイス国民によって構成されていますが、
それはスイスが中立国家だからです。
中世期に、すでにスイスは中立国家でしたから、
その時代から引き継がれている伝統です。
カラフルな衣装の可愛らしさでも有名です。
ローマが世界で唯一の存在と言われるのは、
コロッセオやフォロ・ロマーノ、
ヴァチカン市国の聖ピエトロ寺院などの
歴史的な遺産があるからというだけではなくて、
まるで隠されているような小さな宝物の数々を
見つける楽しみも、潜んでいるからです。
何度も訪れたくなる街、
そして少しずつ宝物を発掘していく
この上ない喜びを与えてくれる街、
それがローマです。 |