夏も終わり、
イタリアのカンピオナートのシーズンが再開します。
イタリアには、アズーリ、つまり
世界チャンピオンの代表チームや、
クラブ・チャンピオンのACミランもいます。
ACミランには、少なくも昨年までは
「完璧なサッカー」のシンボルだった、
ロナウジーニョが到着しています。
カンピオナート昨シーズン優勝のインテルは、
最高額の付く監督であるモウリーニョと契約しました。
シーズン開幕にあたり、
純粋にスポーツ的な興味はもとより、
それ以外の動きについての興味も尽きません。
カルチョ・イタリアーノ全体のアイコン的存在である
デル・ピエロのいるユーヴェは、
最も多くのティフォーゾを抱えており、
相変わらずイタリアで最も愛されているチームです。
ここ3年間、セリエAで2位に付けているASローマは、
バプティスタが入ったことで強化されたことでしょう。
昨年度は4位にいたフィオレンティーナのことも、
忘れてはいけません。
TOD'Sのオーナーとして靴業界の富豪でもある
デッラ・ヴァッレ会長は、
フィオレンティーナのUEFAチャンピオンズ・リーグ参戦も
視野に入れて、チームを驚くほど強化しました。
しかし、長い間カルチョ界の
最高権力者として君臨していたルチアーノ・モッジは、
あの有名な八百長試合の件で資格を剥奪され、
3年目に入る今も、まだ復帰していません。
ぼくは、夏休み中のある日、
じつは彼に会ってきました。
彼が、トスカーナ地方の海沿いの街である
フォッロニカに、ぼくを招待してくれたのです。
リゾットや、メカジキをはじめとする
数々の海の幸が並ぶテーブルには、
元ユーヴェの選手で、今はウルグアイ人選手たちの
代理人を務めているパオロ・モンテーロも同席し、
ぼくらは、この上ないもてなしを受けました。
モンテーロは、アタッカーのフォルナロリを
イタリアのチームに買って欲しいと思い、
その事をモッジに話したのですが、
モッジの答えは
「2、3日くれたまえ。
電話を何本かかけて、きみの問題を解決するさ」と、
まさにこのようなものでした。
食事も終わり、
モッジはバイクに乗って去って行きました。
ぼくは、モッジの返事を
あまり真剣に受け止めていなかったせいもあって、
その後2日間はこの話を忘れており、
3日めに新聞を見て思い出しました。
そこには、ウルグアイの未来の星のフォルナリロを、
700万ユーロでサンプドリアが買ったと
書いてあったのです。
ぼくは、すぐにモッジに電話をかけ、
素晴らしいと言ったのですが、
彼は電話口でちょっと笑い、なんと、
来年1月には大いなるカルチョ界に戻るだろうと
白状したではありませんか。
スポーツ審議会も資格剥奪の刑を少し緩めるだろうと、
モッジは確信しており、
彼とは長い付き合いのベルルスコーニが、
彼をACミランの総監督として迎えるだろうということも、
確信していると言うのです。
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モッジの復帰を待ち受けながらも、
ともかくカルチョ・イタリアーノは
新シーズンに入ります。
ここ3年間連続でインテルが優勝したカンピオナートは、
足許から揺らぐ騒動で不安定な2年間を過ごしましたが、
そろそろ均衡を取り戻すはずです。
モウリーニョ監督を導入したインテルは、
まだまだ人気を保ち続けるでしょうし、
ACミランも主導権を取り戻したいところです。
昨シーズンのカンピオナートで
4位内に入れなかったACミランは、
今年のUEFAチャンピオンズ・リーグには参戦できません。
見方を変えれば、気を遣うゲーム数が
減ったということで、
ロナウジーニョもいることですし、
巻き返しのチャンスです。
ロナウジーニョはピッチの上で、
ベルルスコーニは外で、
ここ数年色あせていたACミランの優位を取り戻す
準備を整えています。
ベルルスコーニは外で、と言っても、
彼は「政府」というピッチ上で、
すべての環境をコントロールするでしょう。
ほとんど無意識に、
でもACミランにとって前向きに。
そのACミランに、
モッジという駄目押しが、
本当に加わるのでしょうか‥‥。 |